5.キャラクター設定資料
・ローリック・ディーンス
天才的な殺し屋として大きく名を馳せた男。歳を取り、全盛期を過ぎると平和で安定した生活を求める様になる。
ある時、ギルバート伯爵家の『見せ物小屋』で小銭稼ぎをした際にその実力を買われて個人的に雇われる。後に剣闘士を派遣する極秘任務を任される事になるが、代わりにディーンスという姓を受けて新たな人生と身分を保証される。
酒とギャンブルに溺れ、目を剥く様な大金を数日で溶かしていたが、何故か女だけは一度も買う事がなかった。
・リコット
貴族の娘だったが、彼女の美しさを妬んだ者達から恨みを買われて殺しの依頼を出される。依頼を受けたローリックがリコットに一目惚れし、二人の恋は駆け落ちまで発展する。
酒癖も金の使い方も悪いローリックを献身的に支え、暴力にも愛情を感じる程盲目的に彼を愛していた。
元々家にいる時間の少ないローリックは、ロートが産まれてからというもの子供嫌いが激しくなり別居状態となる。
子供さえ出来なければもっと彼に愛してもらえたという感情に長年蓋をしたまま、ロートを育てていた。
・ロート・ディーンス
幼少期、父親から過酷な戦闘訓練を受けて育つ。その頃から父親は自分の事を稼ぐ為の道具としてか見ていないと悟っていた。
『見せ物小屋』で闘う事は父親に強制されたものであり、逃げる事が許されなかった。そんな地獄の暗闇を母の存在だけが照らしていたと思い込んでいる。
それを奪おうとする者は誰であろうと許さなかった。
・ミルカ
村一番の美少女として有名で、その噂は隣街まで轟く程だった。
それを快く思わなかったギルバート伯爵家の娘達から召使いとして無理矢理雇われる。
両親に会える休みも殆ど無く、毎日様々な嫌がらせを受けていたある日、伯爵家の娘達に『見せ物小屋』へ悪ふざけで連れていかれる。
その時見た規格外の強さを持つ少年が、村の外れに住むロートだと気付いて、強烈な関心が芽生える。
その日以降、ロートが自分のもとに現れて伯爵家から連れ出してくれる夢を毎晩の様に見ていた。
・ヘンリー・ギルバート伯爵
伯爵家の長男として生を受ける。国王にも顔が効き、政治にも大きな影響力をもつ等周りの貴族からも一目置かれた存在。
若くして金も地位も手にしていた彼は、武力という新たな分野に異常な執着を見せ、『見せ物小屋』を創立させた。
ローリックの実力に尊敬の念さえ覚えており、彼の引退を最後まで止めたが、彼が跡取りとして息子の成長に努めるという事で承諾する。
ロートの事を、見方を変えれば我が子以上に大切に思っているとも言える。
・ジェリアンナ、シェルフィナ伯爵令嬢
国が誇るといわれる美貌を生まれ持って育った双子の姉妹。
隣国の王子達から縁談を持ちかけられ、舞い上がっていた所にロートが現れる。
ロートの持つ整った顔に映える全てを悟った様な悲しげな表情、強靭な肉体美、圧倒的な身体能力と剣術、一夜にして莫大な金を動かす影響力は、二人の価値観が崩れ去るのに十分な要素だった。
王子達よりもロートの方が歳が下だという事もあり、彼等が酷く幼稚な存在に見えてしまい二人揃って迷いなく縁談を破棄、後にロートに心酔する様になっていった。
・リアーヌ
ヘンリー伯爵が顔を見ただけで雇った側近。その実は政治、商業等幅広い知識と交流を持つ。性格は芯が通っており、雇い主だからと媚びへつらうことがない。
『見せ物小屋』に関しては完全に軽蔑している。
・レビー
ミルカに想いを寄せる小太りの少年。ヘンリー伯爵から村の統治を任された下級貴族の家の長男。ロートの一つ上。ミルカが村に帰る度に付き纏っていたせいで、本人からは迷惑がられていた。
ある事件を境にノイローゼになった数日後、同時に消えてしまったミルカを探す旅に出たらしい。
・シェールゴウンター
別名『奇跡の酒』。その昔、ある巨大商業ギルドが製造したもので、ギルド解散後は製法を知る者がいなくなった。
その内の一本が遠縁であるミルカの家系に代々受け継がれ、両親の酒場に保管されていた。
ヘンリー伯爵は娘達を通してミルカからその存在を知った。
彼女の両親に闇取引を持ちかけたが、何者かによって奪われて以降行方が分からなくなっている。
・見せ物小屋
高い闘志と鍛えた肉体を持て余しているものが集まり、殺し合いを繰り広げる場所。というのは建前である。
勿論そういった輩もいるが、殆どが国を追われた罪人や明日の食い扶持もない人間が、ローリックの様な者達に連れて来られ闘わされている。言わば死の牢獄である。
そんな人間が命の灯火を燃やし闘う様をヘンリー伯爵は好んだ。相手の強さによって狼や熊、異形の怪物を投入する事も少なくない。
ロートが現れてからは彼が無双する様を楽しむ娯楽と成り果てており、水面下で貴族の娘達を中心に裏社会現象の様なものが起きていた。
彼女達の気を惹く為か、その狂気から救う為かは分からないが、無数の騎士達がロートに挑み、敗れている。
ロートの勝利が約束されたものである前提の下、「何秒持つか」で賭けが成立していた。大穴は「身体に一太刀」であり未だ達成者はいない。
ロートには貴族令嬢達から国が動く程の大金を積まれていたが、ローリックは自分の息子を女に売る気はないと全て突っぱねていた。