07 体は一つ!頭脳は二人!
「よし!これからのことについて考えるぞ~!」
【これから...つってもなぁ、正直に言ってどうしようもないだろ。】
病院にいる間や帰ってくる途中にスマホで調べたが、入れ替わり(入れ移り?)なんてものはファンタジーで、現実ではどこにも載っていなかった。
そりゃそうだ...そんなことがあったら一大ニュースとして取り上げられてるだろう?
そんな中、俺たちは病院で一つの約束を決めていた。
"入れ移りについてはできる限り話さない"
ということだ。俺...いや俺たちの存在が世間に知られてしまったら注目の的だ。
また事故に巻き込まれ、周りの人間にも危害が及ぶ。
詩音さんの助言で正体を隠すことにした俺は、御園生詩音と名乗り、入れ移りの情報をつかむために詩音さんの家に転がり込んだ。
...なんか、とんでもない方向に話が変わっていってるような?
ゴホン!時を戻そう!
俺たち二人はあまり目立つことが好きではない性格だったため、とりあえず、できる限り自分たちで解決したい...ということで意見が一致したのだ。
まあ、とはいっても...
「聞きたいんだけれど、アルバイトって何時ごろなんだ?」
【ああ、さっきも言った通り、私が店を回してるような状態だから、基本自由に開けられるんだ。
開けてる間だけタイムカードに記録して給料をもらうから、早く行って長く店にいればそれだけ多く給料がもらえるぞ。】
なんというか...その本屋、本当に大丈夫何だろうか...
「それならよかった。明日の夕方に行きたいところがあって。」
【行きたいとこ...?】
「俺の知り合いに会いに行こうと思ってね。」
【はぁ!?お前病院での約束はどうした!】
「あれは"できるだけ"って言ってあったじゃん。
それに、大丈夫!あの人は口が堅い方だから...」
【いや、口が堅いとかそんなもんの前に、なんでそいつに会いに行かなきゃなんねぇんだ?】
「もしかしたら、この状況を何とかしてくれるんじゃないかな~ってことで。」
【はぁ!?この状況ってこの入れ移りのことか!?】
「そう、そのことだよ。
俺の知り合いに博士って言って、自称天才の発明好きがいるんだけれど、あの人なら何とかしてくれるかなってことで...」
【いや、この状況をどうにかできる奴なんているわけねぇだろ...
いるとしたら、天才かバケモンみたいなやつじゃねぇか...】
バケモンって...
「とりあえず、俺たちだけで頑張っても、いつか限界が来る。
彼女はちょっと変わってるけど、こういったことになら必ず力になってくれるさ。」
【っていうか、彼女ってことは女性なのか?】
「うん、そうだぞ。俺の同級生の女の子だ。」
【同い年ってことは20歳じゃねえか!】
女の子の年齢は、ま・ぼ・ろ・し~なんだよ...
【そんなに若いのに、本当に何とかしてくれるんだよな...?】
「た・ぶ・ん、だからなぁ~。まあ実際、彼女は自他ともに認める天才なんだよ。
彼女ができないというのならば、他には誰もできないっていうくらいにはね。」
【それってめっちゃすげえやつじゃん!
よく、知り合ったな!】
「まあ、ちょっとした事故がきっかけでね...」
【事故って...お前、巻き込まれ体質すぎやしないか...?】
あはは...
「というわけで、明日はアルバイト後に博士の家に行くことにするよ。」
【まあ、体の主導権はそっちだからな~...それでいいぜ。】
ということで話がまとまったのだった...
この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません。