06 物的証拠の隠蔽
「へえ~ここが詩音さんの家か。」
意外としっかりした造りのアパートだった。
「てっきり、お金がないって言ってたから、ボロボロの家にでも住んでるのかと思ってたよ。」
【男子ならそんなとこでも問題なさそうだが、女子は繊細なんだよ。】
「いやぁ、流石に俺もおんぼろな家は、安くても住みたくないよ。」
【とりあえず、さっさと家に入ってくれ。】
「はーい」
そういって、俺は家に入った瞬間...
「Oh...」
そこには、コンビニ弁当やカップラーメンの山があった。
【あ1これは違うぞ!その...事故にあった日に捨てようと思ってたんだよ!】
などと容疑者は、物的証拠を前に供述しております。
...なんて言ってみたものの、確かにゴミ袋に入ってるから、後で捨てようとはしてたんだろう。
「いや、それはいいけど...それよりも、こんなのばっか食べてて、栄養が偏っちゃうんじゃないの?」
【しょうがないだろ、一人暮らしなんだから。
食事を作るのとかめんどくさいんだよ。
一人暮らしなら、たいていこんなもんだろ?】
そうなのだろうか?俺は実家暮らしだから何とも言えないな。
まあ、いいか...
「とりあえず話し合うよりも先に、片付けが先だな!」
俺(と詩音さん)が落ち着けるのは、もう少し先になりそうだ...
~掃除中~
「ふぅ、終わった~」
途中で俺が妙にやる気を出してしまったため、ゴミ捨て以外の掃除も色々とやったら時間がかかってしまった。
ついさっきまでお昼だと思ってたのに、外はもう日が落ちてきていて薄暗くなっていた。
それにしても大変だったな~
自分の家じゃないから掃除道具の場所がわからなくて、とりあえず開けてみたら中にあんなものが入ってたなんて...
【お疲れ様。】
「はぁ、ほんとに疲れたよ...」
【いや~掃除までしてくれて助かったぞ。】
機嫌は治ったようだ。
なんで機嫌が悪かったかって?...そりゃ見ちゃったからだよ。
見てないって言っても、視線を共有してるからどうしようもなかった...
あんなにも、罵倒の種類があるんだな~
俺がドMに目覚めたらどうしてくれるんだ!
この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません。