04 決定的証拠
「き、きみ!いきなり何するんだ!」
「あぁ?それはこっちのセリフだ。この痴漢野郎!さっきから俺の尻を触りやがって!」
「わ、私はそんなことやってない!」
「嘘つくんじゃねぇよ。」
【お、おい?晋也?】
詩音さんが心配した声で、俺に話しかけてくる。
が、今の俺はこのクズ野郎への怒りでいっぱいなため、無視する。
「私がやった証拠は!?私はただ単に後ろにいただけだ!
私じゃない!誰かが私に擦り付けようとしたんだ!」
「はぁ...証拠ならあるぞ。博士。」
「ああ...」
博士が、撮影していた動画を再生する。
そこには、俺の尻を触っていた手が俺につかまれて、中指が曲げられている映像がしっかりと映っていた。
「そ、そんな...」
「あんたが長いこと触っていたおかげで、証拠を取ることができたんだ。
しっかりとした証拠だろ?」
「次は〇〇駅~〇〇駅~」
次の駅に止まるため、電車が減速し始める。
痴漢野郎ははっきりとした証拠を取られていたことに絶望したのか、動こうとしない。
これなら簡単に駅員さんに引き渡せるだろう。
プシュ~
電車の扉が開く。
それと同時に、痴漢野郎は走り出した!
「つ、つかまってたまるか!」
【んな?】
「あぁ!?待ちやがれ!」
俺も急いでそいつの後を追いかける。
走って逃げるから逃げ足には自信があるのかと思ったが、予想以上に痴漢野郎は足が遅かった。
俺はすぐに追いつき、痴漢野郎の足を払いながら、後ろに引き倒す。
痴漢野郎は簡単に重心が崩れ、後ろに倒れた。
「この野郎...逃げるんじゃねぇよ。」
俺は逃げないようにネクタイをつかむ。
そんなことをやっているうちに、博士が追い付いてきた。
「うわぁ~君は、怒ってるときはドSだよねぇ...
しかも、怒りに任せた怒り方じゃなくて、冷静な状態で怒るから、なおのこと怖いんだよなぁ...」
「はぁ...だれがドSですって?
とりあえず、この痴漢野郎を駅員さんに引き渡しに行きましょう。」
そういって、俺は痴漢野郎のネクタイを引っ張り、無理やり動かす。
「うぅ!」
「そういうところだよ...」
博士が後ろで何か言っていたが、よく聞こえなかった...
この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません。




