15 お姫様
さ~て、小春はどこかな?...と思って探してみるが、どこにも見当たらない。
まだ来ていないのだろうか?
それから5分...10分...と過ぎていくが、一向に小春は姿を見せない。
そのまま、20分が過ぎた。
【な、なあ、全然小春が来ないぞ?】
(どうしたんだ?)
まだ試合まで時間があるとはいえ、初めに受付をしなければならない。
そろそろ受付に行かなければ、不参加ということになってしまう。
(...あ!)
俺たちの参加する卓球は、少し離れた第二校舎で行われる。
体育館はバスケやバドミントンが使用していおり、卓球は校舎内で行われるのだ。
もしかしたら、場所を間違えているのかもしれない。
俺は急いで体育館の方へ走っていくと、体育館の隅にいる小春を見かけた。
【あ!いたぞ!】
「はぁ...はぁ...見つけた!」
「詩音...さん?」
「ああ...そうだ。ごめんな!あらかじめ待ち合わせの場所でも決めてればよかったね。」
「い、いいえ。そんなことは...」
「とりあえず移動しよう。受付の時間がそろそろだから。」
「は、はい。」
俺が時計を見てみると、受付終了の時間まで五分を切っていた。
走っていかないとギリギリの時間だ。
だが、小春を走らせるわけにはいかない。
どうすれば...
【時間ギリギリだな...なあ、晋也。走っていかなきゃいけないんじゃないか?】
「そんなのわかってるよ。だけど...」
「私のことはいいですから...先に行ってください!」
「でも、二人で行かないと...」
【なら、あれをやればいいんじゃないか?】
「「あれ...?」」
ーー
「っは!...っは!...っは!」
俺は走っていた。
卓球の受付時間に間に合うように...
だが、俺1人ではない。
「うぅ~...恥ずかしいです...」
俺の両腕には、小春が恥ずかしがって抱えられている。
そう、俺は今、小春をお姫様抱っこしながら走っている。
目が見えない小春を走らせるのは危ないが、走らないと受付時間に間に合わない...
そんな中、詩音さんが提案してきたのは俺が小春をお姫様抱っこすることだった。
確かに小春は俺より小柄なので、頑張ればお姫様抱っこすることができるだろう。
だが、そんな状態で走るというのは、お姫様抱っこされている方も恥ずかしいだろうが、する方も結構恥ずかしい。
「もう少しだから!」
だが、そんなことを気にしている場合ではない。
俺たちの1か月の練習の成果が無駄になってしまうのだけは、避けなければならない。
あんなに頑張ったんだ!
俺は急ぐ。そうして...受付が見えてきた!
「はぁ...はぁ...あの!まだ受付やってますよね!」
「え...は、はい。」
よかった、間に合ったようだ。
「あ、あの...そろそろおろしてもらえるとありがたいんですけど...」
おっと、小春を抱えたままだった。
俺はゆっくりと小春をおろし、受付を行う。
【よかったな!間に合って。】
まあ、そうなんだけれど...
周りの目がすごく痛いです...
この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません。




