09 腹筋何個に割れる?
俺は途中で買い物をしてから、博士がいるであろう場所に来ていた。
「お!やっと着いたぞ。」
【...なあ、本当にここに住んでんのか?】
「ああ、病院で寝ていた一週間の間に引っ越してなかったら、ここにいると思うぞ。」
【いや、だからって...ここ、悪魔の森じゃねぇか!?】
悪魔の森...俺たちの住んでいる地域にある森の別名だ。
まあ、森っていうか、実際はかなり広く、山のような勾配があるのだが...
確か、本当の名前は"平和の森"っていうはずだったが、爆発音が聞こえる...奇妙な笑い声が聞こえた...など変なうわさが絶えない森なため、"悪魔の森"と呼ばれてるようになったのだ。
まあ、実際は...
【ここって、悪魔が住んでるっていう噂の場所だろ?
こんなところに人なんて住んでるわけねぇじゃねぇか...】
「そんな、悪魔なんて存在するわけないだろ?
まあ、悪魔のような研究家が存在してるだけだよ。」
そう、俺の知り合いの博士が住んでいる森だ。
博士は研究の失敗などで良く爆発を起こしたり、装置の暴走を引き起こして周りに被害を起こすため、森の奥で発明をしている研究バカと呼べるような人だ。
「よし、行くか。」
そういって俺は山を登り始めた。
~10分後~
「...ひっ!ひっ!ふぅ~!」
【ほら、頑張れ~】
頑張れ~って...
生きていたころの体ならこのくらい余裕だったのだが、違う人間の体であり、一週間も寝込んでいた体には、かなりきつい山登りだ。
くそ...これから筋トレでも始めようかな!
そして、肩にちっちゃな重機でものってるような、ムッキムキのマッチョにして体を返してやろう!
部屋が少なかったからな!腹筋を6LDKにすれば、すげぇ部屋が増えるぞ!
などとくだらないことを考えていると...
【お?建物が見えてきたな。】
博士が住んでいる、研究所兼家が見えてきた。
【本当にここに人が住んでんのかよ?】
「大丈夫だよ。」
二階建ての建物であり、建てられてまだ10年くらいのはずだが、ところどころヒビや爆発の後があるため、ほとんど廃墟といってもいい様な見た目だ。
とても人が住んでいるようには見えない。
俺はいつも通りの挨拶で、博士を呼ぶ...
「博士~!生きてますか~!」
これがいつもの挨拶だ。
俺が来ないと平気で昼夜逆転するし...食事だって忘れるくらい研究に熱中する人物だ。
冗談交じりで言っていたのが、いつの間にかそれが通常になってしまっていた。
すると、10秒ほどは無音だったのだが、家の奥からドタドタという走ってくるような音が聞こえてきた。
この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません。




