魔道工作機
ギルドで必要な資材を手に入れた翌日、わしが寝泊まりしている屋敷の一室、元拠点の雨天練習場らしくかなり広い。その場所を工作室として使用する事にした。
わしはアイテムボックスから魔道工作機を取り出す。
アイテムボックスはEXと名前がついているが物を入れる個数は三つまで。従って、アイテムボックスには魔道工作機の他はアイテムカタログとスキル大全を入れている。
(さてまずこの腕輪を調べるか。アイテムカタログを手に持ってと……。ふむ、鑑定すると該当アイテムのページが開くのか……チートだな。ついでに材料と設計図も判ると。ん?このカタログに載っているのは概略の設計図ではない?それともこのレベルの腕輪なら設計図が載っているのか?)
わしは試しに超時空戦艦のページを開く。
(……簡易設計図か。まぁそんなにうまい話はないな。)
とは言え簡易とは言え設計図、これを元に設計図を引けばそれなりの物はできるだろう。おっと、今日の予定はこれじゃない。
オルクス・コマンダーの魔石をセットし起動する。魔道工作機は軽く唸りモニターらしき部分に光がともる。
そして昨日の晩のうちに書き上げた図面を魔道工作機に読み込ませる。しばらくすると必要な材料がモニターに表示される。
(金属インゴット三本か以外に少ないのか?とりあえず材料をセットして……スイッチを入れる。)
魔道工作機は切削音とプレスするような音共に軽く振動し始めた。
(約二時間で完成か……。結構早くできるな。今の内に次の図面を書いておくか。
わしが考えて作ろうとしている物はいくつかの部品で構成される。今魔道工作機で作っている物はその心臓部“魔道式スターリングエンジン”だ。その為、次の作るべきはその心臓部を載せる部分だろう。
後、平行して腕輪を量産しておくべきだろう。非常時には繭の魔法ある。それに防御力も多少上がるから役に立つはずだ。
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「トキイ殿、その腕輪が作り上げアイテムなのか?」
「そうです。第三騎士団全員分……五十人分はあると思いますが足りなければ言ってくれれば追加して作ります。」
「性能から考えると安くない物だが?確かに我々としては喉から手が出るほど欲しい品物だがいくらぐらい支払えばよいのだろうか?」
腕輪はギルドの買い取り価格で三十八万円、売り値は少なくてもその倍の金額七十六万円だろう。それを騎士団の人数分なのだから五十人だと三千八百万円となる。
「ここで生活をさせてもらっているのでその代金と考えていただければ……。」
「いいえ。それはだめでしょう。宿泊にしては金額が多すぎます。」
確かに松雪さんの言う通りだ。他に代案はないかとわしは辺りを見回す。
窓から見えるグランドの片隅にはリアカーの様な台車が壊れたまま放置されている。
(リアカーも材料さえあれば修繕可能だ。……待てよ。材料ではどうだろうか?)
「高いですか?でも実際この腕輪は魔石が入っていないので比較的安いのです。なんでしたら材料をいただければ……。」
結局、松雪さんからは数本のインゴットと錬金術用の薬草や貴金属類を得たのだった。
 




