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一方その頃:あけぼのダンジョン開発にて

 “あけぼのダンジョン開発“


 正社員約三十名の中小企業だ。(アルバイトを含めるともっと多い。)

 社長の“暁小五郎”は絵にかいたようなボンボンであり、あまり人を疑うことをしない。時々騙されることがあるのだが家自体がお金持ちである為、何とかなっているという面もある。

 あけぼのダンジョン開発は元々金属製品の製造を仕事としていた。様々な出来事があって(割愛)ダンジョンの開発に力を入れる事になった会社である。


 時井が転移してから一夜明けた次の日、会社内では少し困った問題が起きていた。


「海事課長。探索課が五階から持ち帰った宝箱が見当たらないのですが?」


「何だって?あれは今までにない罠だから万全を期して地上で各種非破壊検査の後に遠隔操作のロボットアームで罠の解除をする予定となっていたはずだ。宝箱の管理はどうなっていたのだ?」


「宝箱はいつも通り保管室に入れて施錠していました」


 あけぼのダンジョン開発ではダンジョンの五階以下で発見された品物は最初に保管室へ入れておく決まりがある。これはダンジョンの五階以下で出てくる罠には致命的な罠が多いためである。

 持ち帰った品物は保管室でX線や超音波などの各種非破壊検査を行う。

 物理的な罠の場合は各種非破壊検査で罠の構造が判別できる為、安全に罠を解除することが出来る。

 魔法的な罠の場合は魔法でしか罠の構造を判別できない為、完全に罠の構造が出来るわけではない。

 持ち帰った品物の罠が解除できなければロボットアームで強制的に解除するのだ。


「では宝箱の取り違えはないのか?たしか保管庫には訓練用の宝箱も入れていたはずだ。前にもなくなったことがあっただろう?」


 海事が言う訓練用の宝箱は探索課のメンバーが罠解除の訓練をする為の物である。

 ダンジョンの宝箱には固定されているものがあり固定された宝箱を開ける場合は開ける本人の技量が必要になる。

 できるだけ生還率と利益率を上げるには罠解除の訓練は欠かすことが出来ない物なのだ。


「訓練用の麻痺の宝箱ですか?それの数はすべて揃っています」


「揃っている?違ったか?逆に誰か持ち出した者や持ち出しを申請している者はいないのか?」


「ちょっと待ってください。……時井課長ですね」


 思ってもいない時井の名前を聞いて海事に疑念が生じた。


「時井課長?彼は設計課だったはずだが?」


「探索課に移動されたみたいですよ。理由はわかりませんが。最近探索者免許を取ったそうです」


「探索課か……課長と言っても、と言うよりも課長だからこそかな?探索課はダンジョンに必ず入らなければならないから罠解除の訓練が必要になる。探索者になって日の浅い時井課長なら誤って持っていってしまったと言う可能性が高いな。まず間違いないだろう」


「訓練のためにですか……探索課は給料が良いけど現代の3Kですね、私なら勘弁してほしいところです」


「後、確認のため入室者の確認はしておいてくれ」


「わかりました」


 だが彼らは更に問題が発生するとは露程ほども思っていなかった。

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