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だらだら不本意運命奇譚  作者: 縞々タオル
最終章その3
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エピローグ

「……なこと、……る……ないだろ」


掠れた声で、途切れ途切れに言う。迫り来る銀の刃。そして、頬に当たる雫。


誰かの汚い声が、心の中で木霊して。ああそうかと理解する。

最後の力を、振り絞る。


運命は変えることができない? いいや、運命は変えることができる。それは、自殺の運命にあったチェルシーが、他殺されたことで証明されている。


ーー逆に、言えば。


殺される運命にあるガウナが、


「……っ」


ジルトが息を呑む。ガウナが、ジルトの手を優しく掴んだからだ。


「はなせ」


『神の左耳』を持っている彼は、ガウナが何を考えているかわかるのだろう。


「はなせって、言ってんだろうが!」


半狂乱になって叫ぶ彼の、唇に、人差し指をあてた。五文字の言葉を口にする。


ーー僕はとっても幸せだ。好きな子に看取られて行くし、なにより。


あの最低最悪男の鼻を、明かしてやれるんだから。


火事場の馬鹿力というやつか。それとも、もう、十分血を流したということか。


からん、と音がして、聖剣が地面に落ちる。


「お前……」

「火傷してない? 大丈夫?」


ジルトが拾う前に、ガウナは聖剣を、震える指で握った。ガウナは『薔薇の魔女』じゃない、普通の人間だ。いや、『薔薇の魔女』だって、普通の人間だったのかも。


熱した聖剣を、自分の心臓に突き立てれば、ちゃんと死ねるだろう。


「ジルト君」

「……」

「君に、さっきの言葉は似合わない。お手本を見せてあげる」


恐怖など、微塵も感じなかった。噴き上げる鮮血を、ガウナは、ただ他人事のように見ていた。

血飛沫の向こう、やっぱり泣いている彼の頬に手を添えて、ガウナは、この上ない笑みを浮かべた。


「僕が地獄に落ちるのを、天国で嗤って見ていてくれ」

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