街中
人がひしめく王都、ソマリエの大通り。普段も賑わっているが、いっそうの賑わいを見せるのはひとえに、本日行われる式典のおかげだろう。
黒いローブを纏った男は、露店が立ち並び、人でごった返す中を掻き分けて、とある少女を探していた。
こんな大人数の中から、一人の少女を探す。それは無理なように思えるが、男には楽観があった。
探している少女は、美麗な少女だ。いくら町娘に変装しようが、その高貴さは隠し通せない。いやでも人の目を惹くだろう。
ついにここまできたという思いが込み上げる。
男は、フードの下の整った口元を釣り上げた。
それだから、だろうか。
「おっと、すんません」
感慨に浸っていたせいか、男はとある少年にぶつかった。灰色の髪の少年だ。手には、露店で購入したのであろう串焼きと、その紙袋。そして、件の学園の制服を着ている。
「いえ、こちらこそ」
会釈して、男は再び少女を探そうと人波を掻き分ける。それにしても、件の学園の生徒は、今は式典会場にいるはず。どこにも不真面目な生徒はいるものなのかと、苦笑する。
まあ、式典の主役は来ないだろうし、その混乱で、あの少年にお咎めはないだろう。
男は再度、少女を探して、人混みをかき分ける。
だが。
待てども待てども、男が少女を見つけることも、男の部下が少女を見つけたという吉報も来なかったのである。




