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ショタパパ ミハエルくん  作者: 京衛武百十
第六幕
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必要かつ適切な努力を惜しまなかった

『真摯であれば相手が必ず信頼してくれる』


残念ながらこの世はそんなに単純なものではない。そんなに都合良くはいかない。


そして『真摯である』というのは、


『ただ相手の嫌がることをしない』


というだけのことでもないのだ。真面目なだけで相手からの信頼を得られるか?


『確かに真面目なんだけど……』


的な評価に止まってしまうようなことはないか?


ではなぜそのようなことが起こるのだろうか?


それは結局、受動的にただ真面目なだけでしかなく、本当に相手からの信頼を勝ち取るための手間や時間をかけていないからではないか? 一方的に相手からの信頼を期待しているだけではないか?


『真摯である』というのは、本来、相手からの信頼を勝ち取る上において必要な手間や時間を惜しむことなくかけるのを言うのではないか?


メイヴはただエイスネにとって<都合のいい存在>でいたわけではない。彼女はこの後吸血鬼として生きていく上において必要なものを真摯に提示してきたことがこの結果を招いたのである。


ひたすら真面目なだけでいいのであれば、余計な苦労をすることなく生きられる人間がどれほどいるだろう。


『真面目なだけでは足りない』という実感があるからこそ、狡いことをしてでもいい目を見ようと考える者がいるのではないのか?


『真面目な奴は損をする』


のではない。


『自身の目的を果たすために必要な努力をしない者には望む結果は訪れない』


『自身の目的を果たすための適切な努力が行えない者には望む結果は訪れない』


というだけなのだ。


そしてメイヴは、


『エイスネの信頼を勝ち得るために必要かつ適切な努力を惜しまなかった』


からこそこの結果に至ることができたというだけの話だ。


もちろん、そのようにすれば常に必ず望んだ結果が得られるというわけでもない。間が悪く想定外の事態などが起こることにより望まぬ結果を招くこともあるだろう。


しかしだからといって、必要かつ適切な手間をかけることもなく望んだ結果が得られるなど、<運頼み>以外の何ものでもなく、<ご都合主義>を期待するものでしかないだろう。


そしてそれについてもメイヴはエイスネに対して自ら実践して見せたのだ。


それ自体が信頼を勝ち得るために必要なものであるがゆえに。


これは決してエイスネ個人の資質に依存した対応ではない。彼女の気性などを考慮した上でのものではありつつ、あくまで<適した対応>を心掛けたものでしかなく、まったく異なる気性を備えた者が相手の場合には、またそれに適した対応を心掛けるだけである。



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