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ショタパパ ミハエルくん  作者: 京衛武百十
第六幕
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かつてはとても貧しい国の一つだった

現在のアイルランドは、経済的にはかなり豊かで発展した国の一つでもある。ただしそのほとんどは外国資本による経済活動が基になっていて、アイルランド本来の経済力はさほどじゃないそうだ。むしろかつてはとても貧しい国の一つだったとも言われてる。


特に、十九世紀に起こった<ジャガイモ飢饉>では、餓死者と飢えから逃れるために他の国への移住者が多く出たことで、人口が半減したそうだ。これは、食料のほとんどをジャガイモに頼っていたことも原因らしいけど。そのジャガイモが疫病で大変な不作に陥ったことに加えて、当時、アイルランドを支配していたイギリス側の失策も大きく影響したみたいだね。


そうした諸々もあって、国としての地力は決して高くなかったらしい。だからこそ外国の企業を招いて自由に活動してもらいその恩恵に与る形で豊かになっていったとのこと。


けれど、そうやって自分達の国に十分な力がない事実を認めた上で効果的な対処を行えたことで、現在の繁栄がある。これは、イゴール達の国にとっても参考になるものだと思う。イゴール達の国もこれといった産業がなく、実効支配を続けている大国が天然ガスを輸出するためのパイプラインの維持管理が主な仕事という形なんだ。けど、自分達の国を取り戻そうと声を上げるテロリスト達にはせっかくの実例を活かす力も気概もないからこそ、何も成せないままただ暴力に訴え続けるしかない状況ということだね。


そうだよ。自分達の力で何も成せない者達がいくら暴力を振りかざそうとも、さらに大きな力を持つ相手の前には無力なんだよ。必要なのは実効性のある対策。彼らは、テロの手段のために頭を絞るんじゃなくて、自分達の国を支えるに足る具体的な力を構築するための施策を練り上げることこそが必要なはずなんだ。


自分達の力だけじゃ足りないなら他者の力を利用するのも大事だ。でもね、それを破壊のために使うなら相手だって当然、必死で抵抗してくる。打ち壊そうとさらに大きい力を用意しようとする。それが用意できる地力がある方が強いに決まってるよね?


貧弱な体格の人間が筋骨隆々のヘビー級の猛者に勝てる道理はないんだよ。それこそ人間と吸血鬼のようにまったく別の種でもない限りね。確かに五歳や六歳くらいの体格しかない安和(アンナ)でも、人間の<世界最強>を捻じ伏せることは容易いと思う。だけどそれは安和がダンピールだからだよ。根本的に前提がまったく違うんだ。人間同士なら地力に勝る者が当然ながら強い。



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