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ショタパパ ミハエルくん  作者: 京衛武百十
第五幕
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そういう者達同士が

人間の多くは、自分の思想信条と重ね合わせてどちらかの側について相手を非難すると思う。


でも、人間のそういうのとはまったく関係ない僕達吸血鬼にとっては、どちらもただ身勝手なだけでしかないけどね。


その<身勝手な者>同士、ううん、<似た者>同士、自分のことしか考えてないようにしか見えないよ。どちらも自らの行いは棚に上げて相手を非難しているだけでしかない。


『国と誇りを取り戻す』


なんて言ったって、その<国>を具体的に運営していける展望もない、単なる幼稚な空想を掲げている者達が語る<国>ってなんなんだろうね。


<友達ごっこ>


のことかな?


一方で、大国の方も、実際に必要なのはパイプラインを通すための<場所>だけであって、そこに暮らす人達のことなんか実は真剣に考えてない。


『逆らわなければ勝手に生きてればいい』


程度にしか思っていない。人間として扱ってないんだ。だから併合の際、それに反対した人間達を武力で鎮圧もできた。自分達と同じ人間と見ていないから。


これは、そういう者達同士が身勝手な自分の都合を押し付け合ってるだけの話。そこに<正義>も<善>もない。あるのは<私欲>だけ。


しかも大国の方は、この国のパイプラインを通すのが最も効率がいいからそうしているだけで、迂回して天然ガスを送るための別のルートも用意しているそうだ。だからテロリスト達が言う、


『我が国を通るパイプラインの使用量を支払わせる』


なんていうのは、<絵に描いた餅>でさえない妄言なんだよ。


それで、あの空港で出会った少年のような子供を利用して自爆テロを行わせたりしてる。墓地で慟哭している母親の幼い子をテロの犠牲者にしてる。


こんなことのどこに<正義>があると言うの?


『国を取り戻す』なんて大義を掲げるなら、せめて具体的な展望を持ってからにするべきだと思うけど? ううん、ちゃんと自国の産業を成長させて自分達で独立採算を確立させて、その上で大国に対して、


『自分達はもう自らの力で国を維持することができる。パイプラインなんか我が国に通しておく必要もない』


程度のことを言ってみせるべきなんじゃないの? 順序が逆だと思うんだけどな。


なのにそれができないからテロでどうにかしようなんて、大人の考えることじゃないと僕は思うんだ。


自分達の力で国を成立させることもできない人間が<誇り>を口にするとか、何の冗談なんだろうって気がする。


しかも、


『今はまだそれだけの力がないけれど、自分達の力で国を成り立たせるための努力をしている』


という姿勢すら示していないんだよね?



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