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ショタパパ ミハエルくん  作者: 京衛武百十
第五幕
499/697

必要な犠牲

拘束されていた両親と思しき男女に告げたように、僕は携帯電話を取り出して、セルゲイに連絡した。


「拘束されていた夫婦と思われる成人二人と、七歳から八歳前後と見られる子供二人を保護した。成人二人は意識があるものの、拘束されていた際に十分な呼吸ができておらず、医師の診察が必要と推察する。また子供二人の方は薬物で眠らされている可能性あり。こちらも救急を要する。


なお容疑者の可能性が高い者六名を拘束。他にも容疑者がいるかどうか現在確認中」


用件だけを手短に伝えると、セルゲイの方からも、


「現在、州軍の部隊がそちらに急行中。あと十分くらいで到着の予定。対テロ装備の機動歩兵部隊のようだ。強襲の可能性が高いため、十分に注意されたし」


との情報がもたらされる。


実際、僕が確認できただけでも、容疑者の大半は拳銃を所持していて、加えて管理室には、かなり使い込まれた感じの取り回しの良い小型の自動小銃が備えられていて、容易ならざる相手という印象だった。だから、州軍の方も、容赦のない電撃作戦を展開するだろう。この辺りでは、むしろそれがデフォルトの対応だった。


それにより巻き添えになる民間人も少なくなくて、でも、<必要な犠牲>だと割り切られている傾向にある。


僕としては、本心ではそのようなことはないことを願っているんだけれど、人間のすることに、あまり露骨に口出しはできない。残念だけれどね。


でも、だからこそ、こうやってあらかじめ拘束しておいて、直接の武力衝突は回避できるようにして、少しでも双方の被害と巻き添えになる人を減らす努力はしたいと思うんだ。


ただ単に通報するだけでは、確実に動いてくれるとは限らないし、たとえ動いてくれたとしても、大変な銃撃戦などになって、大きな犠牲が出る可能性も高いからね。実際たまたまそこに居合わせた民間人を含む十数名の死者を出したと言う事例もいくつかある。


せめて、回避できることは回避したい。回避するための努力は諦めたくない。努力もせずに『仕方なかった』とは言いたくないんだ。


それでは、犯罪を生業としている者達と同じになってしまう。犯罪を生業としている者達も口を揃えて、


『仕方なかった』


『そうする他になかった』


って言ったりするからね。


確かに本当にやむにやまれぬ事情から法を犯すことになった人間もいるだろうけれど、全員が全員そうじゃないはずだよ? なのに多くが『仕方なかった』『そうする他になかった』と口にする。


本当に卑怯だよね。



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