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ショタパパ ミハエルくん  作者: 京衛武百十
第四幕
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いい歳をした大人の行状

さらには警察も駆けつけ、自動車の運転手に出てくるように説得を始めた。そもそもこうやって警官に出てくるように説得される時点でもう普通じゃないよね。


とにかく現実から目を逸らして自分のしでかしたことを矮小化させようとしてるだけだな。そんなことをしても状況は悪くなるだけなのに。


鍵を奪うために僕が運転席側のドアのガラスを割ったから完全に閉じこもることはできないけど、運転手はなおも往生際悪く籠城を続けようとしていた。警官がドアを開けようとすると、


「勝手に開けるな! 弁護士を呼んだから弁護士が来てからしか話はしない!」


とか言ってるのが聞こえる。そんな、<いい歳をした大人の行状>を、危うく事故に巻き込まれそうになった子供達が見ていた。


けれど、次々に応援として警官が駆け付けて、子供達には怪我がないことを確認すると、教師達と一緒に学校まで誘導してくれた。


僕はその様子を、気配を消した状態で見守る。


「……」


椿(つばき)は、黙ったまま僕に小さく手を振ってくれた。僕も手を振って返して、見送る。


どうやらショックの方も大したことはないみたいで安心した。


アオに連絡を入れようかとも思ったけど、椿が家を出てすぐに寝ているはずだから、椿に怪我もなかったことだし、後で直接説明すればいいやと思ってそのままにしておいた。


事故を起こした運転手については、ここから先は人間に任せればいい。報いについても、人間の法の範囲で構わない。


実際に巻き込まれて怪我をした子供もいなかったからただの物損事故で済むはずだけど、すでにネット上に事故の様子が拡散されてしまったようだ。


仕事にも遅刻しただろうし、印象はすごく悪いだろうね。


しかも、ただの物損と言っても、電柱にはかなりのダメージがあったから、おそらく交換になるだろうな。任意保険に入っていればそちらで賄えるとしても、<ながら運転>についてはどう評価されるかな。


任意保険は、わざと事故を起こしたり、違反の内容があまりに悪質だと適用されてない場合もあったんだっけ。


<やっちゃいけないこと>


をやめることもできずにこうして事故を起こす人間のどこが<大人>なのか、本当に疑問だな。


かつて人間は、<年齢>ではなく<通過儀礼>を果たせた者を大人として認めたけど、もしかするとそちらの方が適切なのかもしれない。


『歩きながらスマホを使わない』


『運転しながらスマホを使わない』


たったそれだけの我慢もできない人間が<大人>だなんて、違和感しかないよ。



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