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ショタパパ ミハエルくん  作者: 京衛武百十
第四幕
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この若造を厳しく躾けてやらなきゃいけない

こう言うと今度は、


『高齢者施設でそういう態度を取る高齢者はごく一部だ! それが目立ってしまうから多くの高齢者がそんな振る舞いをしているように見えるだけだ!』


と言うだろうね。だけど、それが本当なら、その<ごく一部>を重点的に対処すればいいだけじゃないの? 人手を増やし、そういう問題行動が収まらない高齢者への対応に特化した人材を配すればいいだけじゃないの? なのに、


『そんなコストは掛けていられない!』


『そんなに人員は割けない!』


と言うのなら、


『そんなごく一部の事例にさえ十分に対処できない程度の予算しか確保していない』


ということになるよね? それでいいの? それで、


『目上の人間は敬うべき』


なんて言ってきたの? これはつまり、


『安い賃金で酷使しても『目上の人は敬う』という気持ちを持って我慢しろ』


と言いたいだけじゃないの?


随分とムシのいい話だね。それでも、入所している高齢者が全員、礼儀礼節をわきまえていて他者を敬える者達であればなるほど我慢もできるだろうけど、そうじゃないんだよね? だから問題になっているんだよね?


元より、礼儀礼節をわきまえ他者を敬うことができる高齢者が大半だったなら、そうじゃない高齢者がごく一部だというのが本当なら、他の高齢者に気遣ってもらえることで中和できたりはしないの? 中和できないレベルだからこそ、苦痛に感じるんじゃないの?


椿(つばき)の場合だって、学校ではごく一部の生徒が彼女にとっては好ましくない態度を取るそうだ。だけどそれ以外の生徒はそんなこともないから、家に帰ってきてアオや僕に甘えることで癒され、中和することができてる。それは本当に『ごく一部の生徒が好ましくない態度を取る』だけだから。これがもし、もっと多ければ、とてもアオや僕が癒すだけじゃ間に合わないだろうね。


そういうことじゃないの?


じゃあどうして、厳しく躾けられてきたはずの高齢者が礼儀礼節もわきまえず、職員を敬うこともできないの?


なぜ?


人間が<躾>と称しているものが、ただただ、


<自身より弱い者・立場が下の者を都合いいように扱うための詭弁>


でしかなかったからじゃないの?


職員に対して理不尽な振る舞いをする高齢者は、


『この若造を厳しく躾けてやらなきゃいけない』


的に考えているんじゃないの?


そうじゃなく、ただただ我儘に振る舞っているだけなら、その高齢者自身は子供の頃に躾けられてこなかったと言うの? そしてもし、


『躾けても個人の資質によって効果がないこともある』


と言うのなら、そもそも<躾>と称する行為の効果そのものを再検証するべきじゃないのかな。



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