やっかみも多数
二時間ほどの勉強が終わると、悠里も安和も、また、自分のしたいことをする。悠里は自分が観察してきた生き物達のデータ整理。安和は自身が運営するHPの管理。
ここ半年、海外でのショッピングだったことで紹介している品物は日本では売っていないものも多く、
『どこで手に入れられるんですか?』
という問い合わせや、
『羨ましい……』
という羨望のコメントがよく見られた。
そしてその中に、
『セレブ自慢かよ!』
『ウザッ!』
『成金趣味丸出し。クセークセー!』
『日本に帰ってくんな!』
的なやっかみも多数。
そんなことをしてて幸せになれるとでも思ってるのかな。それとも、もう幸せになることを諦めてしまったのかな。
幸せになることを諦めるのは勝手だけど、僕の娘を巻き込まないでほしいものだね。安和だけじゃない。他の人間のことも自身の不幸に巻き込まないでほしい。
何度も言うように、他者を傷付けようとする者が幸せを掴めることは滅多にないよ。
それは人間の世界を見ていても、歴史を見ていても明白なはずなんだけどな。
今ならそれこそ、ネットを見ていてれば無数の実例がある。誰かを意図的に傷付けようとしている人間が、幸せそうに見える? 社会的に成功していても、本当にそれは幸せなの? 幸せなんだったら、どうしてそんなに精神的に余裕がないの? ネットで誰かを傷付けようとして、それで反発を招き<炎上>なんてことも起こってるよね? それは幸せって言えるの?
もしかしたら、それをやってる本人はとても他者の気持ちに対して鈍感で、何を言われても堪えないのかもしれない。平気なのかもしれない。でも、その本人の身近な人達はその巻き添えを受けて平気なの? 本人と同じように気にしないでいられるの?
僕は安和が罵られてることについては、平気じゃないよ。本当は報復だって考えてしまう。居場所さえ突き止められれば後は簡単だしね。
と、そんな風に思われることは、幸せを維持する上で大変なリスクになると思うんだけどな。
多くの人間に迷惑を掛けて傷付けた者が逮捕までされて、それで社会復帰をしようとしてもひたすら足を引っ張られている事例だってあったよね? どうしてそういうのから学ばないの?
利口な人間なら簡単に分かりそうなことだと思うんだけど、どうして学ぼうとしないの?
人間は<賢い生き物>なんだよね? 他者の失敗から学ぶこともできる生き物なんだよね? それが本当なんだとすれば、あれほど多くの人間が関わったことなら、たくさんの人間が学んだはずなんだけどな。




