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ショタパパ ミハエルくん  作者: 京衛武百十
第四幕
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昼間からリビングで

アオと唇を重ねた時、


「あ~はいはい、お熱いことで」


と声が聞こえてきた。さらに、


安和(アンナ)、それは野暮ってものだよ」


という声も。安和(アンナ)のと悠里(ユーリ)が起きてきたんだ。僕はその気配を察してたけど、アオはさすがに気付いてなくて。


「おほほほほ♡ じゃあ、私は仕事に戻るから~」


言いながらそそくさとリビングを出て行った。


「やれやれ。そんな照れなくてもいいのに」


安和は腕を組みながら首を振る。


「ははは。これは手厳しいな」


僕は笑顔でそう口にする。<夫婦の時間>を邪魔された形にはなったけど、別にそれを不快には思わない。ここは安和の家でもある。


人間には、


『ここは自分が用意した家だ! そこに住まわせてやってることに感謝しろ!』


的なことを言うのがいるけど、僕にはその感覚は理解できない。ましてや自身の子供に対してそれを言う親がいることが不思議で仕方ない。自分の勝手で子供をこの世に送り出しておいてそれを言うの? 親が子供を養育するのは、


『勝手にこの世に送り出したという行いを贖う』


だけの行為だよ? 親は自身の行いを贖わなくちゃいけない。それだけの話なんだよ。子供を家に住まわせるのは、


『住まわせてやってる』


わけじゃないよ。


<自身の行いを贖うための方法の一つ>


というだけでしかない。


『子供本人に承諾を取ってこの世に送り出した事実はない』


その現実とも向き合えない<甘ったれ>が大きな口を叩くのは、不快だな。


少なくとも僕は安和や悠里や椿に事前に承諾を取って迎えたわけじゃないんだから、安和や悠里や椿がこの家にいること、この家の中で自由に振る舞えることを保障するのは、僕が負うべき責任を果たしてるだけでしかない。


<夫婦の時間>が欲しいなら、夫婦の寝室に鍵をかけてこもればいい。少なくとも皆が集まるリビングですることじゃないよ。その程度の節度も守れなくて子供に<節度>なんて教えられるわけないじゃないか。


ましてや夜こそが吸血鬼やダンピールにとっては活動時間。人間でいえば『昼間からリビングで』ってことでもあるからね。


一方で、安和も悠里も僕とアオの仲の良さは理解してくれているから、嫌悪感を向けてくることもない。ただ、自分の両親が目の前であんまりにもイチャイチャしてるのを見るのはいたたまれないと思ってるだけだ。


それに配慮するくらいは、大人としては当たり前だよね?


「ココアでも飲むかい?」


僕が声を掛けると、


「うん。ありがと」


「ああ、僕は自分で紅茶を淹れるよ」


安和と悠里はそれぞれ応えたのだった。



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