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ショタパパ ミハエルくん  作者: 京衛武百十
第四幕
441/697

誰かをイジメたりしたら

アオは続ける。


「でも、私はね、みんなに誰かを理不尽に攻撃するようにはなってほしくないからこそ、今のうちにちゃんと言っておかないといけないことがある。それは、もしみんなが、誰かをイジメたりしたら、私は学校になんて行かせない。だって、私はみんなに誰かをイジメさせるために学校に通わせるわけじゃないから。


人間はすぐ、『イジメは動物の本能だからなくならない』みたいなことを言うけど、私は、『なくならない』ことと『なくす努力をしない』ことは違うと思ってる。『なくならないからなくす努力もしなくていい』なんていうのは、甘ったれた卑怯者の考え方だと思ってる。


要するに、自分や自分の子供がイジメ加害者になった時に『本能だから仕方ない』って言い訳したいから言ってるだけでしょ? イジメそのものはなくならなくたって、自分の子供が誰かをイジメてたら学校に行かせなきゃ、少なくとも自分の子供の加害行為は止められるよね? なのになんでそうしないの? 内申書に響くから? でもそれ、<イジメ>をしてたんなら当然受けるべき<報い>じゃないの?


何か事件が起こる度にとかく『加害者に甘い!』とか言うクセに、自分や自分の子供の加害行為には甘いってのが多いよね」


アオがそこまで言ったところで、悠里(ユーリ)が、


「だけどそれだと、『イジメられた』って虚偽の申請をしたら、気に入らない相手を学校に来させなくできるんじゃないかな?」


と、冷静な指摘。


するとアオは、


「確かにその通りだよね」


穏やかに応える。決して、子供が自分の意見に異を唱えたからといって激高したりしない。それは、自分が完璧じゃないことを分かっているからだ。完璧じゃない自分が口にすることが完璧じゃないのを分かっているからだ。


なにより、アオはマウントを取りたいから子供達を生んだんじゃない。人間は、マウントを取りにいった相手に反論されると感情的になるのが多いけど、そもそもそんなことを目的にしてなければ強く気分を害することもないよね。もちろん、いい気がしないのは事実だとしても、逆上する必要はない。


アオのそういう姿が、悠里達にとってはとても大切な<手本>になる。相手の言葉に耳を傾けて自身の意見とのすり合わせを行うという在り方の手本になるんだ。


だからアオは続ける。


「自分の気に入らない相手を学校に来させないようにしようとして『イジメられた』って嘘を吐く人も出てくるかもしれない。実際、自分の行為を正当化するために『イジメがあった』と供述するのもいるだろうしさ」



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