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ショタパパ ミハエルくん  作者: 京衛武百十
第四幕
430/697

月城ハーレム

そして今度高校三年生になる秋生(あきお)は、相変わらず、


吉祥麗美阿(きっしょうれみあ)


汐見美登菜(しおみみとな)


市川美織(いちかわみおり)


の三人に囲まれた<月城(つきしろ)ハーレム>と呼ばれる状態にあるそうだ。


格安理容室で髪をカットしただけの『垢抜けない』印象が拭えない麗美阿(れみあ)と、さらりとしたやや明るめの色合いの髪をいわゆる<サイドテール>にまとめつつ自分を演出するためのメイクが施された華やかな顔立ちながら小学生にも間違われることのある小柄な美登菜(みとな)と、秋生とほぼ身長が同じで潤んだような瞳にぽってりとした柔らかそうな唇を持ちとても生徒とは思えない色香を放つ美織(みおり)は、それぞれ秋生に依存している女子生徒達だ。


見るからに他者とのコミュニケーションが苦手そうな麗美阿はもとより、一見しただけなら明るく人懐っこい印象の美登菜やおっとりとした感じで他者の話にもちゃんと耳を傾けてくれそうな美織も、実は本当の意味でのコミュニケーション能力を持たず周囲から浮いてしまうタイプだったことにより孤立。空回りを続け孤独感に苛まれていたところに秋生(あきお)が現れたことで救われて、以来、彼に依存している状態なんだ。


つまり、<恋愛感情>よりはむしろ<親子関係>に近いのかもしれないね。


だから、他者からは<ハーレム>にも見える関係性が成立する。何しろ、


<父親に甘える娘達>


に近い状態だろうから。本人達はそれぞれ、


<正妻の日>


というのを独自で決めて、ローテーションで秋生に甘えているつもりのようだけど、人間の独占欲というのはそう簡単に割り切れるものじゃないから、完全な恋愛感情じゃ成り立たない可能性が高い。


でも、本人達がそれで納得しているなら、僕が干渉することでもないし、秋生にとって負担になり過ぎないうちはそっとしておこうと考えてる。しかも秋生自身、彼女達との折り合い方を身に付けてきているらしく、今ではそんなに負担も感じていないようだ。


そう。<恋人>じゃなく<娘>や<妹>と解釈すれば無理なく今の状態を続けられると悟ったようだね。


もちろんそれも、秋生にそれだけの器があることが前提になるけれど、幸い、彼にはそれを成立させられるだけの器があるから。<父親としての度量>をすでに備えているんだ。


いずれ彼女達の方が今の関係性では我慢しきれなくなれば破綻する可能性もありつつも、彼女達自身が今の状態を壊したくないとも思っているらしいし、当面は現状維持が保たれるだろうと僕も感じる。


歪ではあっても、彼女達の本来の家庭は当てにできないから、これを続けるしかないんだ。



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