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ショタパパ ミハエルくん  作者: 京衛武百十
第四幕
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洸ならそうでなくても

僕達がこうして穏やかな時間を過ごしてるこの瞬間にも、人間達は、くだらない諍いを起こしてる。


ネット上には、自身のパートナーやその親族などの行状をあげつらう書き込みが溢れ、自分が気に入らない相手への罵詈雑言が溢れ、他者を敬う気配すら見えない行いがニュースとして絶えず報じられている。


<全人類>ということになれば、そういう者達も含まれるんだよ? それと自分の大切な人達をなぜ天秤にかける必要があるの?


もちろん、そうじゃない人間達も多くいるのは分かってる。けれど、自分の大切な人達を守るのは、自分が行うべきことじゃないの? 


他者を無遠慮に攻撃しておいて、自分に危機が迫ったからって『守ってほしい』というのはいくら何でもムシが良すぎるよね?


自分を攻撃してくる相手を守りたいとは思えないならさ。


自分を守ってもらいたいなら、まず自分が他者を守る姿勢を見せるべきだよ。子供にはそれだけの力もないことがほとんどだから別にしても、<大人>ならその力もあるはずだと思うけど?


だからこそアオやさくら達は、お互いを守ろうとしてるんだ。お互いを労い、敬うんだ。それができる人間達だというのを目に見える形で示すから、守りたいとも思えるんだよ。


逆を言えば、そうじゃない人間は守りたいとは思えない。


実に単純な話だ。


そんなことを考えている僕の前で、(あきら)は、その看護師の女性について詳細に語り始めた。


「その看護師の女性は、僕が担当してる〇〇病院の看護師なんだけど、僕が知る限りでは普通の真面目な看護師だったんだ。患者に対しても丁寧に接してて、容体が急変した時も慌てず適切に対応する人だった。優秀だからこそ他の看護師からやっかみを受けることもあるみたいだけど、基本的には信頼されてるという印象だったな。だから僕も、立派な看護師だと思ってた。


でも、僕が院長や事務長とのアポを取って待ってる間にちょっと話したところだと旦那さんとは上手くいってない感じだった。彼女も看護師として忙しく仕事してるのに仕事を理由に子供の相手しないそうだし。それで僕が労うようなことを言ったから目をつけられたのかな」


「いや、洸ならそうでなくても目を付けられると思うけど……」


安和(アンナ)がそう口を挟んだのはいいとして、(あきら)も、人間の社会で普通に仕事をするようになって、かなり精神的にも成長したと感じた。ウェアウルフは肉体の成長はすごく早いけど、精神的にはあどけない面が強いからね。仕事をし始めた頃にはまだ子供っぽさが強かったかな。



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