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ショタパパ ミハエルくん  作者: 京衛武百十
第四幕
421/697

自分は我慢したくないから他者には我慢させようとする

人間というのは本当に奇妙な生き物だ。自分は<我慢>をしないのに、他者には<我慢>を強いる。


それってつまり、


『自分は我慢したくないから他者には我慢させようとする』


ということだよね? 自分は不貞行為をしたいから、パートナーや子供には、


<パートナーや親が不貞行為をしているのが嫌という気持ち>


を我慢させようとしているだけだよね? 


他にも、自分の感情を優先したいから怒鳴るのは我慢しないけど、相手には怒鳴られることを我慢させようとしてるだけだよね?


自分の感情を優先したいから暴力をふるうのは我慢しないけど、相手には暴力を振るわれることを我慢させようとしてるだけだよね?


自分の感情を優先したいから法律を守らないのは我慢しないけど、他者には法律を守らない自分への批判を我慢させようとしてるだけだよね?


<我慢>という言葉を多用する人間は、すべからく、


『自分は我慢したくないから他者に我慢を強いる』


だけなんだよ。


紫音(しおん)の両親がまさしくそれだった。自分が我慢したくないから紫音に我慢を強いるんだ。


そのようなことが通ると本当に思っているんだろうか。思っているんだろうね。


『自分が優先されて守られるのが当然』


と考えているのが分かる。


<社会>というのは、そういうところじゃないのにね。そのしわ寄せがどこに行くのか、なぜ考えられないんだろう。


それでも、紫音の家庭は、奇跡的なバランスを保っていた。いつ破綻してもおかしくない状態で、奇妙に安定していた。もっともそれは、ほんの些細なことで崩壊する危ういものだったけど、


人間達も分かっているはずなんだけどな、<ヒヤリハット>が積み重なるといつか大きな事故が起こるけれど、実際にはその<ヒヤリハット>が生じる以前から数えきれない危険な振る舞いがあるということを。


紫音の両親も、今はかろうじて危ういバランスを保ってるそれがいつか崩壊するというのを自覚するべきなんだけどな。


それを自覚したくないなら、そうやって自分を甘やかしたいなら、取り返しのつかないことになっても所詮は<因果応報><自業自得>でしかないはずだよ。


椿に累が及ばないように対処はさせてもらうけど、紫音の両親まで救ってあげる義理も道理も僕達にはないから。




そういう危ういバランスの中。紫音は椿を頼って毎日現れ、学校の宿題をし、軽く食事をとって本来の自宅に帰るという形を続けてる。


そしてそれを、紫音の母親はありがたがってる。<自分の時間>がそれだけ増えるからね。



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