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ショタパパ ミハエルくん  作者: 京衛武百十
第一幕
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未婚の母親

第三子は普通の人間だったことで、アオは、普通に近所の産婦人科で検診を受けることにした。


<未婚の母親>


として。


子供達の父親であるミハエルは、実年齢こそアオの祖父よりもはるかに年上とはいえ、外見が十一歳前後くらいの子供にしか見えないので、およそ公にできるものではなかったからだ。


けれど、何も心配はしていない。<未婚の母親>としての先輩である月城(つきしろ)さくらを見てても何とかなると分かっていたから。


<未婚の母親であるデメリット>


など、


『世間がごちゃごちゃ言ってくる』


くらいのものでしかない。


ましてやアオはちゃんと仕事をしていて、自分の収入だけでも母子の生活を維持でる程度の稼ぎもある。


色眼鏡で見てくる者や、くだらないことを言ってくる者など、相手にしなければいいのだ。


アオにはそれができる。


加えて、力強い<味方>が何人もいる。


未婚の母親としての先輩であるさくらもそうだし、さくらの養子である(あきら)もすでに書類上は成人である。


何より、ミハエルがいて、さらにはセルゲイも力になってくれる。


物心両面で鉄壁の布陣だ。


ただ、正直、産婦人科での検診は、他にも何人もの妊婦をこなさなければいけないからかもしれないが、少々、対応が雑な気がする。


いや、むしろセルゲイが丁寧過ぎるのか?


セルゲイと違って女医だったことが唯一の救いだったものの、


『これなら、セルゲイの方が良かったかなあ……』


と思ってしまったことも事実ではある。


それは、出産のための入院と分娩の時も思わされた。


看護師の対応も事務的でどこか冷淡で、居心地はあまり良くない。


やはり、ミハエルやセルゲイは、個人としてアオを大切にしたいと思っていてくれたからこその対応であって、


<多くの妊婦の一人>


でしかないアオを女医や看護師が流れ作業的に対処するのは、ある意味では仕方ない面もあるのだろう。


とは言え、


『これだったらダンピールができた方がいいかもって思ってしまうのは、皮肉だなあ……』


なんてことも考えてしまう。


が、それも含めての<妊娠>だ。泣き言を並べていても始まらない。


それに、アオがかかっていたところが<ハズレ>とまでは言わないにしても実はもっと丁寧に対応してくれる産院も他にあったので、


『近いから』


というだけの理由でそこを選んでしまったのはアオ自身の失策である。実際、さくらは職場である出版社の近くの産婦人科の医院を選んだのだが、そちらは実に丁寧で薦められたりもしたのだ。でも、『近さ』で選んでしまった。


となれば、我慢ができる範囲内であれば我慢するのも筋というものだろう。


加えて、アオが<未婚の母親>ということで少々女医や看護師らからの覚えが良くなかったというのもあるらしい。


この辺りのリスクも覚悟の上なので、


『ま、しょうがないか……』


と割り切っていたのだった。



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