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ショタパパ ミハエルくん  作者: 京衛武百十
第二幕
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恵莉花の日常 その19

再度言うが、千華(ちか)にとっては、恵莉花(えりか)こそが<癒し>だった。そして、<救い>だった。


それどころか、<親代わり>でさえあるかもしれない。


恵莉花にだったら何でも話せる。親とは話せないことどころか、同年代相手だとウザがられるような、真面目で面倒臭い話だってできる。


それが千華にとってはどれほどのことだったか……




以前、千華は、『両親に対していつか復讐してやる』というような話をしたことがある。


その時、恵莉花は、頭ごなしに千華の話を否定はしなかった。


こういう時、フィクションではよくある、


『復讐なんてダメだよ! 千華が不幸になる!!』


的な言い方をしなかったのだ。


それどころか、


「そっか……それくらいなんだね……」


と応えただけだった。


しかもその上で、


「じゃあ、具体的にどんな風に復讐するの?」


と突っ込んだ話を振る。


すると千華は、


「え…と……そうだな。あたしがファッションブランド立ち上げてそれで母親(あいつ)から客を奪って潰すとか……?」


少し戸惑いながらもそう応える。そこで恵莉花は、


「すごいじゃん! チカ、服のデザインとかできるの!?」


食い気味に身を乗り出して尋ねた。けれどそれには、千華は、


「え…あ、え~と……ゴメン、服のデザインとかって、どうすんだっけ? 絵とか描くのかな」


頭を掻きながら訊き返す。それに対して恵莉花も首をかしげながら、


「あ~、どうなんだろ? 私は花とか植物のことなら少しは分かるんだけど、チカのお母さんはどんな風にしてんの?」


改めて問う。なのに千華はますます困ったような表情になって、


「いや、あいつ、家じゃ仕事しないから。服のデザインとか考えてるところ見たことないんだ。あたしも、顔を合せたくないから近付かないし」


大きくトーンダウン。


そして、


「……ダメだな、これは。あたしにゃムリだ」


自分から<復讐案>を取り下げる。


「あ~、復讐はしてやりたいけど、具体的にどうするって考えるとダメなもんだな」


冷静になってしまった。


そこで恵莉花が、


「これは私の知り合いが言ってたんだけどさ、その人も親のことが嫌いで、何とか復讐しようって考えてて、でも、ヤバい方法以外でってなったら、『親が高齢になったら施設に放り込んで後は知らんぷり』ってくらいしか思い付かなかったって言ってた。


だからさ、千華もそれでいいんじゃない?」


と提案した。ここで言う<知り合い>とは、もちろん、アオのことである。


そんな恵莉花に、千華も、


「う~…やっぱそんくらいかなあ……マジでヤバいのとかだとあたしまで捕まるかもだし、あんな奴らのために捕まるとか、それもムカつくよなあ……」


冷静になっていたのだった。



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