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ショタパパ ミハエルくん  作者: 京衛武百十
第二幕
244/697

御厨美千穂

「ピザの大食い大会で優勝しました~♡」


そう言ってモニター内でピースサインを出していたのは、


御厨美千穂(みくりやみちほ)


だった。


カナダの大学に通う日本人女性で、身代金目的の誘拐に巻き込まれたところをミハエル達に救われ、ミハエル達が吸血鬼であると知りながら友人になってくれた人物である。


日本にいた頃には彼女の<大食らい>が家族から理解されず辛い思いをし、当時の友人の勧めもあってカナダに留学。フランス語の勉強をしながらフードファイターを目指し修行中だった。


ミハエル達がカナダにいる時にもハンバーガーの早食い大会に参加したものの惜しくも準優勝で終わってしまったが。


とは言えその時にはまさに誘拐事件に巻き込まれてミハエル達に救出されてその足で参加した状態だったので、精神的には万全な状態ではなかったかもしれない。


それで準優勝だったのだから、立派な結果だったと言ってもいいのだろう。


さりとてその後もいくつもの大会に参加しつつも思うような結果が出せず焦れていたところに、今回の優勝。彼女にカナダ行きを決心させた日本の友人の次にミハエル達に報告したのだった。


「おめでとう!」


ミハエル、アオ、悠里(ユーリ)安和(アンナ)椿(つばき)が声を揃えて祝福してくれる。


それが嬉しくて感極まってしまったのか、美千穂はぽろぽろと涙を溢れさせた。


無理もない。たくさんの辛い時期を乗り越えてようやく掴んだ優勝なのだから。


ミハエルは穏やかであたたかな目を向け、アオと悠里と椿は拍手し、安和は少し複雑そうな表情はしながらも、


「やったじゃん…!」


とエールを送った。


美千穂もミハエル達と一緒に自身を誘拐犯から救い出してくれたセルゲイに淡い想いを寄せていたことで、安和にとってはいわば<恋のライバル>のような存在だったものの、それはそれとして美千穂のことは応援していたからだ。


自分にとって都合の悪い存在だからといって失敗を望むような者ではいたくなかった。自分がそんな浅ましい者になってしまっては、両親が他人から、


『子供をそんな浅ましい者にしか育てられない』


と見られてしまう。大好きな両親がそんな評価を受けるのは嫌だった。だから他人の不幸を願うことはしない。


―――――ように心掛けている。


それに、<恋のライバル>というフィルターを抜きにすれば、美千穂はいい()だと思う。自己評価が低いことで、


<悪い男に引っかかりやすいタイプ>


には思えるものの、ミハエルやセルゲイといった、魂からしてイケメンの<特級物件>と出逢ったことで、誠意を前世に置き忘れてきたような悪辣な男に口先だけで何を言われてもそれに魅力を感じる理由がなくなっただろう。


となれば今は、素直に彼女が夢を叶える応援をしたいと思えるのだった。



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