表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ショタパパ ミハエルくん  作者: 京衛武百十
第二幕
241/697

真夜中の団欒 その2

アオは続ける。


「さっきも言ったとおり、『作品は読者や視聴者のものなんて嘘』ってのを決定的に証明する事実が、<打ち切り>。


『作品は読者や視聴者のもの』だって本気で思ってるんなら、たとえ読者や視聴者が一人しかいなくたって打ち切っちゃダメじゃん。たとえ一人でも『打ち切らないで!』って願うなら打ち切れるはずないじゃん。


でも現実には、<儲けが出ない作品>は、打ち切られるんだよ。読者や視聴者が何を言ったってね。少数の読者や視聴者は、考慮されない。切り捨てられる。


これが現実。


この事実がある以上、『作品は読者や視聴者のもの』だとか、鼻で笑っちゃうね」


『ヘッ…!』とニヒルな笑みを浮かべながらアオは肩を竦めた。


「うわ~…ドン引くわ~……マジか~……」


安和(アンナ)は困惑しきりで呟く。


そこに悠里(ユーリ)が、


「でもまあ、それが事実だっていうのは僕も感じるよ。それに安和、お母さんが言いたいのは、


『読者や視聴者のことなんて考えなくていい』


ってことじゃなくて、僕達、読者や視聴者の側が『お客様は神様だ!!』的に横暴に振る舞うのは、結局、創作にとってマイナスになるってことなんだと思う」


指摘すると、


「そう! まさにそれ!!」


夜中なので抑えつつも、アオが声を上げた。


「私は、作者であり作り手側でもあるけど、同時に、他の人の作品に対しては読者であり視聴者でもあるんだ。そして、読者であり視聴者として、『作品は読者や視聴者のもの』なんていう実感は一ミリだってない。私が他の人の作品に対して口出しするのはおかしいじゃん?


そういうことなんだよ」


「あ~……そう言われればなるほどそうかなって思わないでもない……」


などというやり取りをしつつ、夜は更けていく。


悠里と安和はダンピールなので、当然、夜が本来の活動時間である。


一方、椿(つばき)はもちろんすでに就寝中だ。彼女が寝付くまで、ミハエルが添い寝をしてくれている。


そして今、妻と子供達の様子を、ミハエルはコーヒーの用意をしながら嬉しそうに見守っていた。


最近はそういうこともなくなったけれど、もし、椿が目を覚まして誰も傍にいないことに不安になって泣いたりすれば、いや、泣く気配を見せるだけでミハエルがそれを察して、再び彼女が寝付くまで一緒に寝てくれた。


アオも気を付けているものの、ミハエルの方が圧倒的に早く気が付くので、結局、彼に任せっぱなしになる。


けれどそうやって不安になればすぐに父親が駆け付けてくれるから、椿は自分が愛されていることを疑わない。


これは、悠里(ユーリ)安和(アンナ)が幼かった頃(今でも外見上は幼いが)にもやったことである。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ