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ショタパパ ミハエルくん  作者: 京衛武百十
第一幕
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相手が子供だからといって

ミハエルもそうだが、ミハエルの親戚のセルゲイを見ればよく分かる。


恐ろしいまでに美麗な容姿。


高貴な立ち振る舞い。


医師免許を難なく取得し、生物学者として博士号も持つ。


その知識は広範かつ深く、身体能力であれば人間のトップアスリートさえ赤子も同然。


それどころか世界最強と謳われる軍隊相手でも、小隊程度なら素手で壊滅させるだろう。


つまり、<生物としての人間>では、束になっても彼には勝てないということだ。


そこでもし、


『自分よりも未熟な者、非力な者、能力の低い者、容姿が劣っている者であれば、見下し、侮り、軽んじ、蔑んでいい』


のなら、ミハエルやセルゲイは、この世に存在するすべての人間を、見下し、侮り、軽んじ、蔑んでいいのではないか?


自分よりも未熟な者、非力な者、能力の低い者、容姿が劣っている者であれば、見下し、侮り、軽んじ、蔑んでいいと考える者は、自分が見下され、侮られ、軽んじられ、蔑まれていいと本当に考えているのか?


それともまさか、


『この世に自分より優れている者などいない』


とでも本気で考えているのだろうか?


もしそんな者が本当にいるのだとしても、それはこの世にたった一人しか存在しないはずだが?


その<たった一人>が自分だとでも、本当に想っているのだろうか?


少なくとも、ミハエルもセルゲイも、そしてアオも、そんなことは思っていない。


だから、自分にできることができない相手のことも、見下していいとも、侮っていいとも、軽んじていいとも、蔑んでいいとも思わない。


そしてもちろん、我が子のことも。


赤ん坊だからできることなんてほとんどない。何かといえば泣いてぐずって怒って、でも最高に心が温まる笑顔を向けてくれたりもするだけだ。


それでいて悠里(ユーリ)は、ダンピールだからほんの数年でただの人間であるアオよりは確実に強くなる。その時、悠里に、


『自分よりも未熟な者、非力な者、能力の低い者、容姿が劣っている者であれば、見下し、侮り、軽んじ、蔑んでいい』


と学ばせていたら、何が起こるだろうか?


自分より劣った存在でしかない<人間>である母親を見下すようにはならないか?


他の人間の子供達を見下すようになるとは思わないか?


だから、ミハエルもアオも、相手が子供だからといって見下しもしないし侮らないし軽んじないし蔑まない。


『自分よりも未熟な者、非力な者、能力の低い者、容姿が劣っている者であれば、見下し、侮り、軽んじ、蔑んでいい』


と学ばせないために。


自分と一緒にそれができるからミハエルはアオを選んだというのも間違いなくあったのだった。



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