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ショタパパ ミハエルくん  作者: 京衛武百十
第二幕
217/697

洸の日常 その1

月城(つきしろ)(あきら)は、会社員である。


書類上は三十を過ぎているが、本人の実年齢はまだ二十歳にもなっていない。


というのも、彼は狼男ウェアウルフなので、肉体の成長が人間よりもはるかに速かったからだ。


一歳の頃にはもう外見上は大人とそう変わらないまでなっていた。


その一方で、精神的な成長は決して早くない。知能の発達も人間よりは早かったものの、やはり人間の感覚を理解できるようになるまでは十年以上の時間が必要だった。


けれど、彼の育ての親であるさくらとエンディミオン、そして、<もう一組の両親>とも言うべきアオとミハエルのおかげで、人間の社会に溶け込むことができていた。


書類上の問題についてはミハエルが吸血鬼のネットワークを通じてまず外国の籍を作り、その後に親を亡くして日本に来てさくらの養子になったことにして、日本国籍も得た形になっている。


フィクションではその辺りもあまり細かく考えずに済むものの、現実で人間以外の者が人間社会に紛れて生きるというのはいろいろと面倒も多い。


しかし丁寧に対処してもらえたことでその辺りの問題もクリアできた。


加えて、人間とは違う存在である洸の養育についても、人伝ではあってもウェアウルフの養育の経験者の話を知っていたミハエルの存在が大きな力になった。


後は、さくらが彼をどう受け止めるかだけだったものの、その点でも、ミハエルの協力が大きかったし、エンディミオンは自身がダンピールだったこともあり、人間以外の存在に理解もあったのは幸いだっただろう。




そうして、月城(つきしろ)(あきら)として生きて二十年弱。


実年齢としてはまだ一ケタだった頃には高校に入学。


<笑顔の素敵な爽やか系超絶イケメン>


だった彼は、血の繋がらない弟である秋生(あきお)をはるかに上回るモテっぷりを発揮したそうだ。


なにしろ、精神的にはまだ小学生レベルながら気立てが優しくて気さくで温和な性格で誰にでも明るく朗らかに柔和に接してくれる爽やか超絶イケメンなのだから、モテないはずがない。


また、秋生がいろいろと思慮深くいることで他人との折り合いをつけているのに対して、洸は、


<天然の人たらし>


でもあった。


通った学校が違うのでさすがに影響も限定的なものの、実は、秋生の通う高校にも、<洸の伝説>は、半ば都市伝説的に語り継がれているらしい。


曰く、


『月城洸が歩くと、その前後に数十人の女子が並び、その光景はさながら大名行列のよう』


曰く、


『月城洸に癒されることでストレスが減少。これに伴って校内のイジメが激減。相談件数がゼロになった』


曰く、


『月城洸を目当てに入学希望者が殺到。受験の倍率が例年の三倍になった』


等々。いささか脚色が加えられている可能性は高いものの、それくらいの人気だったということなのだろう。



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