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ショタパパ ミハエルくん  作者: 京衛武百十
第一幕
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人間が嫌い

アオは、とてもたくさんのことを子供達に対して話す。でもそれは、一方的な<お説教>じゃなかった。だから、


「私ね、正直言ってさ、人間ってあんまり好きじゃないんだ……」


そう言う娘に対しても、アオは、頭ごなしに、


『ダメよ、そんなこと言っちゃ!』


的に否定はしない。まずは、安和が言いたいことに耳を傾ける。


「だってそうじゃん? いっつもいっつもくだらないことで争ってばかりで、ママが言ってたみたいな矛盾ばっかりのことをガーガー喚き立てて、自分が気に入らないものは叩き潰そうとするんだよ?


カナダでのことだってベネズエラでのことだって、あんな身勝手な人をのさばらせてる…ううん、違うな。あんな人達を作る人間が嫌い。


どうしてママやパパみたいにできないの? ママやパパは普通にやれてるじゃん。こんな簡単なことがどうしてできないの?」


そんな安和の疑問に、アオは、あくまで穏やかに答える。


「…そうだね。安和の言うことはもっともだと思う。ってか、私も本音ではそう思ってたりもする……」


と前置きした上で、


「でもね、ママやパパがしてるみたいなことができるようになるのだって、結局、何かの形で教わってきたからなんだ。別に、自力でそうなれたわけじゃない。


だったらさ、


『とにかく相手を殴っておとなしくさせてから言うことを聞かせる』


ってのが当たり前として育ってきたらさ、そういうものだって思っちゃうじゃん? 安和がそういうのはおかしいって感じるのだって、『そういうのは良くない』ってママやパパが思ってて、安和や悠里(ユーリ)椿(つばき)に教えなくちゃって思うから今みたいに思えるようになっただけなんだよね。


安和や悠里はダンピールだけどそう思えるのは、ダンピールだからそう思えるんじゃないよ。ダンピールだって人間と同じだよ。教わってない考え方はできないんだ。


知ってるよね? さくらの旦那さんのエンディミオンのこと。


彼は、安和や悠里と同じダンピールだけど、まるで怪物みたいに生きてきたんだ。それは、結局、そう生きるしかない環境で育ったから。


人間もダンピールも、なんだかんだ言っても環境によって考え方が決まっちゃうのは、安和と悠里が教えてくれたんだよ。


昔は、ダンピールはとにかく邪悪なだけの怪物だと思われてた。吸血鬼をとにかく憎んでて、一切、対話もできないような存在だと思われてた。


でもそれは間違いだった。現実を認めたくない者達の甘えだったんだ。それを安和と悠里が立証してみせてくれたんだ。


『欲しいものがあれば他人から奪えばいい』


『気に入らない相手はとにかくぶちのめせばいい』


それが当たり前の環境に育ったらほとんどがそうなるし、たまにそうじゃない人がいたとしたら、それはそうじゃなくなる<きっかけ>があったんだよ。


人を傷付けることが当たり前の環境を変えていれば、そこで育つ人達の考え方も変わっていくよ。


まあ、それが難しいんだけどね」



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