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ショタパパ ミハエルくん  作者: 京衛武百十
第一幕
146/697

陰キャだからって

「世間にはさ、<陰キャ>って呼ばれるタイプをバカにする風潮があるけどさ、そんなこと言ったら、<文豪>とかにはメチャクチャ多いよ? 陰キャ。


陰キャだからってバカにするんなら、そういう<世界的な実績を残した陰キャ>はどうすんの? そういう人達のことも『陰キャだから』ってことでバカにすんの? 


何の<歴史に名を刻まれるような実績>も残してないような人が?


でも同時に、文豪が、歴史に名を刻まれるような実績を残せたのも、結局、本人の努力に加えて何らかの<助け>とか<出逢い>があったらだと思うんだ。


私は歴史的な文豪達と比べたらそれこそただの<クソザコナメクジ>だけど、一応は文筆業でちゃんと家庭を維持できて税金も納められる仕事ができてるのは、間違いなく周囲の人達の助けがあったことと、私にこの道を選ばせる<出逢い>があったからなんだ。決して私一で何もかもを選択できたわけでも、私一人の力で成し遂げてきたわけでもない。


私が今の仕事を選ぶきっかけになったのは、私にとってすごく面白いと思える小説との出逢いだったし、デビューできたのは私の小説を評価してくれる人の目に留まったからだし、この仕事で生活できてるのは、私の作品にお金を出してくれる人がいるからなんだよ。


これで、


『今の私があるのは、私が努力したからだ! すべて私の力だ!』


とか言っちゃう方がおかしいでしょ?


欠片も<私一人の力>じゃないよ。


だからね、私は、芽が出なくてひたすらウジウジしてる人達のこともバカにしようとは思わないんだ。


だって、私もそうだったもん。


『私がこんななのは、両親の所為だ! 世の中の所為だ!』


ってがっつり思ってたし。


だけど私は、たまたま、自分の人生を変えるような小説に出逢えた。


それから私が同人で生活できるようになるまでにした努力だって、別に『人並み外れた』ってほどのものじゃなかったよ。世の中には私なんかよりはるかに努力してる人だっていると思う。なのに芽が出ないって人もいるはずなんだ。


努力が報われないのは、してる努力が適切じゃないからだろうね。


でもね、自分がしてる努力が適切じゃないことに気付けるにも、やっぱり<きっかけ>がいるんだよ。


私は筆が早いから無茶苦茶たくさんの作品を生み出せる。それは私の才覚だと思うし、それを活かすための努力もしてる。


でも、悲しいかな私の生み出す作品は大多数の読者にウケるものじゃないのも事実なんだ。ってことは、私の努力だけじゃ、今の生活を維持することも適わない。


私が生み出すいくつもの作品の中で、<お金に変わる商品>を選別してくれてるのはさくらなんだよ。


その現実を無視して、


『私は自分の努力によって成功した!』


なんて、ちゃんちゃらおかしいってやつだよね」



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