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ショタパパ ミハエルくん  作者: 京衛武百十
第一幕
119/697

美千穂の困惑

自身の目の前で繰り広げられる状況に、美千穂はただ困惑するしかできなかった。


「あ…あの……え、と……ありがとう、ございます……で、いいんだよ…ね?」


とにかく様子を窺いながらそんな風に口にした。と言うか、自分を抱えてたのが十歳か十一歳くらいのアントニーで、三歳くらいのヴァレリーがものすごい速さで動いて、女の人が構えた拳銃を叩き落として。


いや、その前にも、突然自動車のドアが外れたりした前に、何か手のようなものがドアを突き破ってたような……?


訳の分からない事態のオンパレードで、コンビニから出てきたところを見知らぬ男達に無理矢理自動車に乗せられて猿ぐつわを咬まされて手も足も縛られてってした時の恐怖がすっ飛んでしまった。


『吸血鬼とか言ってたような気もするけど……』


アントニーがものすごく大人びた口調でヴァレリーに話してた内容も、ぶっ飛びすぎてて日本語で話してたはずなのに半分も頭に入ってこなかった気がする。


と言うか実際に入ってきてない。


本当にわけが分からない。


でも、


「ミチホ。今ならまだ予選に間に合うよ。どうする?」


とアントニーに訊かれて、


「あ、うん。そうだね…!」


などと応えてしまった。普通ならそれどころじゃないはずなのに。


するとまたアントニーが軽々と彼女を抱きかかえて。


「ええ…っ!?」


驚く暇もなくものすごい速さで走るアントニーにしがみつくしかできなかった。


そうして走り去るアントニーを見送って、セルゲイはスマホで指名手配犯の情報をまとめているサイトにアクセス。この四人組がアメリカでもやはり窃盗や誘拐、暴行、恐喝等の事件を起こして手配中であったことを確認。警察を呼んだ。


さすがに指名手配犯が発見されたとなると今度は警察も迅速に対応してくれて、ものの五分で何台ものパトカーが駆け付けた。


その時点ではセルゲイも安和(アンナ)悠里(ユーリ)も現場から姿を消し、引きちぎられた自動車のコードやケーブル類で拘束された四人組だけが残されていたのだった。




一方。アントニー(ミハエル)に抱きかかえられて大食い会場へとやってきた美千穂は、予選開始五分前に滑り込み、無事参加することができた。


しかも、突拍子もない出来事に遭遇したことでアドレナリンが大量放出されたのか異様にテンションが上がり、ものすごい勢いでハンバーガーを平らげ、ぶっちぎりのトップで予選突破を決めてしまったりもした。


そして観客らの喝采を浴びつつバックステージに戻ってきた時にようやく冷静になり、美千穂とアントニーの後に駆けつけたセルゲイとヴァレリーとアンゲリーナの前で、へなへなと腰が抜けたように座り込んでしまったのである。



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