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ショタパパ ミハエルくん  作者: 京衛武百十
第一幕
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返信がない

午前五時。いつもよりは少し早いものの、ミハエル達は寝ることにした。もちろん、アオや椿(つばき)との家族の団欒を終えた後で。


美千穂の応援に行くために。


そして午前八時過ぎには起床。軽く朝食を済ませ丁寧に紫外線対策をして、後は時間を待つだけとなった。


しかし……


「ミチホからの返信がない」


セルゲイが珍しく少し険しい表情でスマホを確認して言った。


それを受けてミハエルも、普段は見せない表情で、


「何か、あったのかな…?」


と。


二人のただならぬ様子に、悠里(ユーリ)安和(アンナ)も不安そうに見る。さらに安和は、


「大丈夫……?」


美千穂がセルゲイに対して好意を抱いているというのはいい気がしなくても、だからといって彼女にいなくなってほしいとか思っていたわけじゃない。だから当然、心配もする。


そんな我が子に、ミハエルの決断は早かった。


「彼女を探そう。取り越し苦労だったらそれでいいからね」


と言ってフード付きのブルゾンを羽織った。安和と悠里とセルゲイも続く。


そうして四人はホテルを出て、美千穂を探すことにした。吸血鬼とダンピールの超感覚を用いて。


まずは匂いだ。彼女が現在住んでいるという寮まで行って、最も濃く新しいと思われる匂いを、ミハエルと安和と悠里で辿る。


その間、セルゲイは聞き込みだった。


寮から出てくる学生に、


「こんにちは。ちょっとお聞きしたいことがあるのですが」


と、吸血鬼が備える能力<魅了(チャーム)>とまでは行かなくても、限りなくそれに近い効果を発揮する柔和な笑顔で、


「こちらの寮にミチホという女性がいると思うのですが…」


と尋ねた。普通なら見ず知らずの男性にそんなことを訊かれても警戒するところだろうが、セルゲイの笑顔の前には若い女性はひとたまりもない。


「ミチホなら……!」


易々と話を聞き出すことができた。その中に、


「今日は大会があるとかでおめかししてたけど、マスカラが切れたからってコンビニに買いに行ったよ」


という、美千穂の同室だという女性の証言があった。


「それは、いつ?」


セルゲイが訪ねると、


「八時前だったかな」


とのことだった。つまりはその時点までは彼女はいつもと変わらずにいたということだろう。


しかし今はもう九時過ぎ。コンビニにマスカラを買いに行っただけにしては時間がかかりすぎている。


「ありがとう」


セルゲイは目一杯の笑顔でそう言って、美千穂が向かったと思しき近所のコンビニへと向かった。するとそこには、ミハエルと安和と悠里の姿が。


「じゃあ、ここに来たのは間違いないんだろうな」


美千穂の匂いを辿ったミハエル達も、セルゲイの情報でそれを確信した。


「でも、どこに…?」


心配そうにつぶやいた安和の隣で、セルゲイがハッとなる。


「この臭いは……!」



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