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開拓惑星の孤独  作者: 舞夢宜人
第1章 入植

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第22話 開拓惑星の抜け駆けの代償

 一花の抜け駆け騒動の翌日の夕食後、睦月が家族5人を集めた。一花がどこか警戒しているところが見えるが、昨日の今日だから仕方あるまい。そんな一花を睦月がニヤニヤ見ている。

「医療責任者として、いつかはやらなければならないと思っていたのですが、昨日のことで、もう迷うのをやめました。一郎にも責任を取ってもらいます。」

「いったい何の話だい?」

「本来の計画では、安全性を考えると、もう1年ほど先を予定していたのですが、健康診断の結果を見てももう大丈夫そうなので、決行したいと思います。」

「一花、あなた、明日ぐらいが排卵日だったわね。」

「一郎の前で、何を言い出すのよ。」

「一花と一郎に頑張ってもらって、一花に計画妊娠してもらいます。一花が安定期になったら弥生、弥生が安定期になったら卯月、一花の子を取り上げる頃に私の番になります。そのあと問題がないようであれば、私の出産後に他の住民の生殖を解禁する予定です。私たち第一世代は母船に生産された世代です。いつかは誰かが確認する必要があります。バックアップする関係上、勝手に孕まれても困ります。」

睦月は、一花と私を有無を言わせないとばかり睨みつけて言い放った。

「一郎、何か言いたいことがあるのもわかるけれど、こらえてください。一花の気持ちはわかっているわね。なら、一花をきちんと誘惑して、孕ませてください。」

一花は、顔を真っ赤にしてその場に座り込んでしまった。



 それから一週間ほど、一花は夜を私の部屋で過ごして、翌日に姉妹から成果報告を求められるという恥辱を味わうことになった。もっとも、数日すると一花が開き直って攻守が逆転していたようである。



 それから二年の歳月が流れた。

 私は、次郎、三郎、一葉、双葉の二男二女の父親となった。開拓地内には妊婦の姿が増えてきている。第二陣の入植と出産により開拓地の人口は90名にまで増加した。睦月は、二人目を妊娠した一花を助手にして、母親教室を開催している。一花はお腹をなでながら、子育ての苦労と幸せを妊婦たちに話して相談相手になっている。弥生は、三郎をあやしながら、次は女の子が欲しいと言っている。卯月は第二陣で来た江戸香月とともに保育所の担当になった。一花が出産したら交代して、次は男の子が欲しいと言っていた。


 ここに至るまでには、苦労も多かった。ある意味一番の貧乏籤は睦月だったかもしれない。姉妹が順に妊娠していくにつれて、情緒不安定になった子に集中して対応していくうちに、睦月を放置気味になってしまったからだ。「順番を決めたのは私だし、仕方ないわ。」とはいうものの寂しかったのだろう。私がダメになりそうなときには、よく付き合ってくれた。


 世界に目を向けると、1200ヵ所あった開拓地は、既に半数の600ヵ所にまで数を減らしていた。洪水で水没したり、旱魃による不作で滅んだりしたためである。投入予定だった資源と入植予定者の受け入れ先を作るために、既存の開拓地の隣接地域に新規の開拓地の追加が急ピッチで進んでいる。うちの開拓地の東15kmのところと30kmのところに、うちと同じ規模の開拓地の開発が進んでいる。東15kmのところにあるのが開拓地No.49-88-0101から始まる開拓地で、水田のほかには牧羊、綿、桑、麻などを主力にする予定になっている。東30kmのところにあるのが開拓地No.49-88-0201から始まる開拓地で、うちと同じく自給自足できる開拓地を目指している。3か所をつなぐ交易路も整備している。追加する2か所については、他の開発地の状況によっては最初から数百人規模の入植をする可能性がある。これは、うちの開拓地の成功と、母船側の資源と設備の限界が問題となり始めている影響が大きい。


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