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開拓惑星の孤独  作者: 舞夢宜人
第1章 入植

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第11話 開拓惑星の晩秋

 ガレージ横に確保してある壁がない温室のような天日干し区画に、沢庵漬け用の大根と干し柿用の渋柿が、夕日に照らされながら風に揺れているのが見える。今日の作業成果の一つだ。

 耕作地に目をやれば、土と防虫シートが一面に広がっている。苗代区画ではいくつか芽吹いているものがあるが、直播きのものはまだ目が出ていないからである。水田にはレンゲソウの種を蒔いた。春には花の絨毯となって、いい緑肥になってくれることだろう。造成中の開拓地の区画の一部にはレンゲソウの種を取るための区画も確保している。造成中の開拓地の余った場所にはアブラナを蒔いた。畑の方は夏にマメ科の作物を植えていた区画を中心に多少多めに小麦や大麦といった麦類を作付けした。そのほかに4ヘクタールの面積に、リーフレタス、玉レタス、キャベツ、白菜、アサツキ、ニラ、葉ネギといった葉野菜や、テーブルビート、カブ、タマネギ、ニンニクなどの根野菜などを少量づつ作付けしている。

 予定外だったのは、イチゴの作付面積の拡大である。植え替え前のイチゴの苗のうち、3分の1ほどは間引いて捨てると一花さんに作業説明したら、イチゴは増やすべきだと主張して、間引いた分を造成中の開拓地の未使用区画に植えてしまったのである。二人でも消費しきれないほど量が収穫できるはずなのだが、彼女はどれだけイチゴが好きなんだと疑問に思う。あきれながらも、作業を手伝ったら、彼女の機嫌がいいので吉としておく。



 母船への一花の生存報告の最後で、駿河睦月さんに釘を刺された。

「一郎さんと一花さんの主治医として、そして家族の一員として警告しておきます。二人が仲良くなるのはいいのですが、くれぐれも子供ができるようなことは、あと2~3年しないようにしなさい。私達、第一世代は、特殊な成長過程を経ているので、見かけは大人に見えても、いくつかの問題があるのです。医師がいない状況で悲しい結果にならないように控えてください。」

 それ以来、一花さんの挙動がおかしくなった。話しかけようと近づくと顔を真っ赤にして離れようとするし、そうかといって作業で遠ざかると真っ青になって慌てて近づいてくる。私との距離感が掴めないのだろう。極端すぎるので、一花さんに睦月さんに相談するように言ったら、食堂で通信する姿がよくみられるようになった。2週間もしたら、普通に対応してくれるようになった。ただその話し合いで、私にとって微妙な話題が聞こえてきたので、個室で通信した方がいいのではないかとクレームしたら、あなたも当事者なのだから時間に余裕があるのであれば付き合えと、逆に二人からユニゾンで説教された。私が被害担当になっているように感じるが、それでいい関係を保てるのであれば安いものである。


 二人が話しているのを見て気になったので睦月さんに聞いてみた。

「髪型や、ちょっとしたしぐさこそ違うけれど、睦月と一花はよく似ているよね。」

「同じ遺伝子の姉妹だから当然でしょう。どんなに似ていても睦月は睦月だし、一花は一花だってことを忘れないでね。教育課程が違うから価値観も違う。」

「知り合いの中では、私と、一花、伊達睦月さん、琉球一美さんが姉妹です。同じように一郎と、函館一刀さん、博多太郎さん、名古屋芳春さんが兄弟です。全体では、男女それぞれ10系統合計20系統あって、それぞれ第一陣として1280人ほどの兄弟姉妹がいます。次の入植では、本来自分とは異なる19系統からそれぞれ一人で19人入植します。私たちのところは、No.49-88-0001に私を含む19人が入植して、No.49-88-0002に20人入植する計画になっていますので、いずれ別の兄弟姉妹と会うことになるでしょう。第二陣については第一陣の結果待ちで現在生産数を調整中です。」

「母船で専門教育を継続している母船組にとっては、自分によく似た兄弟を見飽きているの。だから、特別な体験をして特別な自分になっている地上組が羨ましい。」


 立場によって悩みも異なっているようです。


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