プロローグ
7年ぶりに「小説家になろう」のサイトにアクセスしました。
7年というと小学1年生のお子さんがもう中学生に成長しています。僕が小説家としてそこまで成長できたのか、というと全くその気配すらないんですね。
ずーっと小説家とは離れた環境で生活していました。仕事の内容もECと言って、インターネットで注文された商品を集配、検査して梱包、そして配送までの業務を行っていました。
しかし、突然売り場の店員の仕事に就くことになり、慣れない接客をすることになりました。失敗も多かったですが、インターネットとは違い直接お客様の喜こぶ姿を目の当たりにしたときは、とてもやりがいと喜びを感じることができました。
そこの店も今年の3月で定年になり、今はDHLという会社の国際貨物を扱うトラックターミナルで24時間の警備をしています。
新しい世界に飛び込むことはとても勇気がいりますが、今まで感じたことのない世界で、活躍する人たちの存在を知ることはとてもいい刺激になります。
僕が『コンピテンス6』の連載をしなかった一番大きな理由が、大介とユキチに安易に大けがをさせてしまったからです。作家は小説の主人公たちを、いかようにも料理することができます。殺すこともできるし大スターにすることも可能です。
僕は大介とユキチにはミュージシャンとしての成功よりも、より人間としてもっと大きくなってこの小説を終わらせたいと考えていました。僕が30歳の時に統合失調症を発病して10年以上入退院を繰り返したように、より過酷な状況から大きな人間になってほしいという願いからです。
しかし、いざ2人をそんな状況に追い込んでしまったとき、ピタッと筆が止まってしまいました。
いまロシアがウクライナに侵攻して戦争がはじまり多くの犠牲者を出しています。また、イスラエルとハマスの戦争も何の罪のない人たちが犠牲になっています。
戦争は始まってしまったら弓矢のように後戻りができません。ウクライナがNATOに加盟しようとしなければロシアは宣戦布告はしなかったでしょう。ロシアはNATOがこれ以上東方に侵攻することを恐れたんですね。
イスラエルとハマスはもともと争いの多いパレスチナ問題を抱えています。
キリスト教はユダヤ教から派生した宗教です。イエスがエルサレムで処刑された後イエスの復活を信じて生まれたのがキリスト教です。しかし、エルサレムはイスラム教にとっても聖地であり、古代イスラエル王国の都だった場所です。
古代ローマ帝国がイスラエル王国を破壊し、エルサレムはユダヤ教、キリスト教、イスラム教にとっても聖地であり、宗教上非常に重要な地域で長い間紛争の絶えない場所として有名でした。
ガザは現在とても深刻な問題を抱えています。封鎖による燃料が入らずに1日10時間以上の停電、医療品や食料の不足、そして近い将来水がなくなると言われています。度重なる軍事侵攻で子供など民間人2500人以上が犠牲になり、ガザの人々は飢えだけでなく明日死ぬかもしれない恐怖と戦っているのです。
いま世界ではこのような深刻な問題を抱えています。日本ではどうでしょうか。平和に慣れてしまって何の心配もせずにのんきに暮らしている人が多いのではないでしょうか?
でも、中国と台湾の問題、ロシアと北朝鮮のパートナーシップも日本をおびやかす大変な問題です。
北朝鮮がなぜ、国民が飢餓に苦しんでいるのにミサイルをあんなに発射しているのか?
ほとんどの日本人がまたやってるよ、みたいに軽く見ているかもしれません。しかし北朝鮮はすでに原爆を開発し数十発持っています。ミサイルに小型の原爆を積載して東京に発射すれば、すぐに広島のような惨劇が待っています。
ただそうなれば米国が北朝鮮に原爆を投下するでしょう。核はこうして戦争の抑止力になります。ロシアも核を使わないで長い戦争を戦っているのはこうした理由からです。
いろんな現状を踏まえて僕は『コンピテンス6』の連載を決めました。これからの世界情勢や生活環境はどう転んでいくか全く読むことができません。
日本のマスコミも流せない問題を色々抱えています。日本の食料自給率は40%にも達していません。60%以上が海外に頼っています。これ以上世の中の情勢が悪くなれば輸出している国も自衛に走ります。日本はいざというときのために食料自給率をあげなければ苦しむことになります。
こんな先の見えない世の中だからこそ大切にしなければならないことがあります。それは逆境を乗り越える勇気と生きることを最後まであきらめない意志にあると思います。
僕は大介とユキチにとんでもない試練を与えてしまいますが、彼らの意志と勇気、織りなす愛、そして生きざまに期待しています。どのように物語が進行していくのか全くわかりません。その時感じたことやひらめきを大事に連載していきたいと思います。どうか楽しみにしていてください。7月20日から連載予定しています。
g.j.jijo 沼里泰行