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鋼明かりのセレナーデ  作者: 上昇気流
第1章 月明かりへと飛び立つ
4/8

虎狼の胃の中

間があって申し訳ない。

これは体育祭とかいう意味不な学校行事を呪うしかない。

30分ほど飛んだ頃、東ノ宮外周にたどり着く。

人の消えたビル群の間をのらりくらりと歩き回る。30分にも及ぶ能力の使用は想像以上に疲労した。どこのビルも電気やガスなどは通っていなさそうだった。自動ドアがしたままのビルを見つけ、そこのラウンジで1日を過ごすことにした。思いつきで軍庫からレーションを持ってきたが、実のところ大将軍の娘だったミコトはレーションなんて食べたことがなかった。食べようものなら母親が倒れてしまってだろうが。どれも火を通すようなものばかりで現状では食べることもままならなかった。仕方なくビスケットとチョコレートバーを食べることにした。だが、想像以上にまずかった。まず、最初にやってくる強烈な甘みそして化学甘味料のかすかなえぐみ、そして何より口の中を乾かしにきているのではないかというパサパサ具合。水を飲まずにいられないほど。重さを考えて水は持っていなかったので、どこか通じている水道を探しに行くことにした。

半刻歩いたほどだろうか明かりが灯っているビルにたどり着く。



ーー明かりがついている...どう考えても帝国の所属。こんな外周なぜだろうか。ミコトは思案する。

結局それ以上は考えず、近くの無人ビルや公園を目当てでまた歩き始めた。

しかし、ここでもう少しでも理由を考えれば彼女の運命は変わったのであろうか。



ーーーーー5分ほど歩いたところで疑念は確信に変わった。あまりにも明るい。ここは郊外に近いにも関わらず、周りの高層ビルのほとんどは煌々と照明がついている。スポットライトに照らされているような居心地の悪さ。本能が警鐘を鳴らす、ここから離れなければならない。危機感は刻々と強くなっていく。

  早く、早く

飛翔を全開に低空飛行で通り過ぎようとする。

だが。


「お嬢さんがこんなところに何の用でしょう?」温和な笑みを浮かべた初老の男。しかし、目は笑っていない。それどころかその目は獲物を見つけた虎狼のように冷徹であった。ミコトは冷や汗をかく。


「あなたは誰。」


「ふっはっは。質問で返されましたな。よろしい、(わたくし)はサオトメ、帝国将軍連に名を連ねる身である...!」

 帝国将軍連、小、中、大将軍の中でも力あるもののみが参加できる、いわば『超』能力者とやばれるものである、という証である。あまりにも格上の存在ミコトは己の運を恨むくらいしかできなかった。


「なんで将軍連に所属しているような人がこんなところに...?」


「こんなところにとは心外な。ここは帝国代7軍の基地・訓練場でありますぞ。」


「よりにもよって第7軍...」


 ほぼ軍事について親から聞いたことも学校でも教えられたことはないが、各軍の主な役割は把握していた。第7軍は狙撃手(スナイパー)および観測手(スポッター)など重拳銃の類を専門とする軍で高層ビルの間のように高所や障害物が多いフィールドでは圧倒的に有利。もはやミコトは虎狼の胃の中であった。

Tips:

今までのTipsの補足・訂正

【帝王の劔】は「王」の7文字相当に加えて、「帝」「劔」の2文字で

7+2で9文字です


平均年間日照時間ではなく平均日間日照時間です


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