王の娘は憂う 後編
後編でっせい
文章読みにくいかもしれないがそこは勘弁
いつの間にか商店街の端に黒髪の女が立っていた。
黒髪さん ー混血が進んだことによって沈日でも黒髪は珍しく、長い黒髪は特徴的だったー は小ぶりの銃を構えていた。
「お嬢ちゃん、こんなところでどうしたの?」
「家から逃げた...」
「ここら辺は危ないから、もう近づいちゃダメよ?」
黒髮さんは優しく諭す。
「付いて来て」
手を引かれて商店街をかける。まだ幼かったといえ、5文字の身体能力を上回れるとは思わなく、当時は少し拗ねていた。今となってはその恐ろしさに身震いするだけだが。
「おうちはどっち?」
「ていおうかんていの方」
「帝王官邸...よし行こうか」
帝王官邸に近づくにつれ周囲に明かりが灯っていく。
そして...
「おいおいあれってレジスタンスの□□だよなぁ」
「ぐへっへへ。帝国に差し出せばばばば、1000万だっでででよ」
帝国の兵士だった。ミコトは将軍令嬢だったので周りから甘やかされていたが、出会ったような下級兵は違った。何よりも、優しい顔をしているところしか見たことのない帝国兵士がホームレスと同じ話し方、卑下た笑い方をするのがあまりにも衝撃的だった。
ーーーパパパァン
乾いた音が3回なり、兵士達の頭が飛ぶ。それをミコトはどこか冷めた目で見ていた。初めて目の当たりにする死体もどこかおもちゃじみていた。
「お姉さんは反乱軍?」
「ええ、そうよ。怖くなった?」
「でもレジスタンスは怖いってママが言ってたから、お姉さんは違うの。」
「ふふ、ありがとう。じゃあもう怖い人に会わないために、あそこに近づいちゃダメよ?」
そう優しく微笑みかけ2度目の忠告を放ち、黒髪さんは夜の闇に紛れていった。
ーーーーーーーーそれからミコトの価値観は変わった。幼いながらにレジスタンスとは何か、そもそも帝国とは何かというのが知りたくなって、本を読み漁った。それから10年程度。彼女は結論にたどり着いた。レジスタンスの絶対悪思想は建国神話と同じく、帝国の都合により改変された歴史に過ぎないと。
創始ハルトに関するそれが最も脚色されたストーリーだと確信しているが。
本の虫になってから最初母は健康的な子に育ったと喜んでいた。だが、その評価はすぐに崩れる。ミコトは1年も経つと時間の無駄だと思い、入ったばかりの小学校も行かずに起きている時間を生きていくために必要な活動以外図書館で過ごした。
母はそんなミコトに狂気を感じ、やがて近づきすらなくなった。家の中で唯一味方だった母との仲違いをきっかけに、やがて全ての活動を図書館で過ごすようになった。
ただ、その生活も1年ほど前に終わりを告げた。めぼしい文献を全て読み終わったからである。
そうして、ミコトは怒り狂った父に中学校に入学させられ、今に至る。
考えているうちに先月に住所が変わったばかりの我が家の最寄駅にたどり着く。
両親や帝国の重鎮たちも一切気にせず、自室に入る。そしてそのまま一週間分の着替えと新聞を自室から、拳銃、携帯式ラジオ、レーションを軍庫から失敬し、鞄に詰め込み自室の窓から自身の能力【飛翔】を使い飛び立つ。
行き先も決めずに満月の夜を浴びて。
目的地も決めずに
Tips :
大沈日帝国では年間平均日照時間が1時間10分ほどしかない




