2海目! 「マトモな神がいねぇ!」
聞いてくれ、朝起きたら目の前は海だった
……しかも電話の相手は神様だった
「……はい神様ですけど?」
「……あ、あの僕の母近くにいませんか?
……この番号、母の携帯の筈なんですけど」
「え? お母さん? いえ、知りませんけど
……てゆーか、あなた誰なんですか?」
「え? あ、えーっと僕の名前は……」
「……もしかしてこれイタズラ電話ですか
私これでも忙しいんですけど!」
「え?イタズラ電話?
あ!ち、ちょっと待って!
ちょっと待って下さい!お願いですから!!」
「お願い? ……何だ神頼みだったんですか
仕方ありませんね、ちょっと待って下さい」
(はぁ〜、めんどくさ……)
プツッ、
……アァーメェージングレー♪
……何だよ、この世界観
海の次は神様かよ、節操がなさ過ぎるだろ
読者置いてけぼりどころか、敢えて突き離しにかかってるじゃねぇか
いや、あの神様
そこはかとなく嘘くさいんだけれどもね
めんどくさ、とか普通言うかね
……まぁでも保留がアメグレだからなぁ
一応GODはGODなのかも知れない
ガチャ
「もしもし! もーしもーし!」
チッ!うるせぇな
「あぁ、はいはい、さっきの者ですけど」
「さっきも言ったけど、私忙しいんだからね
お願いなら聞いてあげるから早く言って下さい」
この神めっちゃイライラするな!
……いや、キレてはいけない
落ち着け思春期高校生
「実は起きたら海に囲まれてまして
どーしたもんかなと思いましてね
ちょっと助けてもらえませんか?」
「え?海?それって …………げ!ヤベッ!」
プツッ、……tuu ……tuu
……………………
trururururu…………
trururururu…………
trururururu…………
trururururu…………×100
ガチャ
「あー!もう五月蝿いな!!
何!?何なの!?ストーカー?」
「オイ、神このヤロー……
おまえ何か知ってんだろ?
どういう事か説明してもらおうじゃねーか
あ”あ”ん?」
「ヒィッ!
……い、いえ、私は特に何も知りませんが」
「あ!オイ!
神様が嘘ついていーのかよ!
あーあー
こりゃ信仰も何もあったもんじゃねーなー!
これだから神様なんて信じれねーよ
とんだ邪神もいたもんだぜ!」
「ウグッ! ……わ、わかりました
申し訳ありません……でした
神様を信じて下さい!」
チョロいな、この神
「あ〜ん、で!?」
「えっとですね……
その、実は世界が滅んじゃいまして
もう一度最初から創り直す事になりまして……」
えぇーっ!それは本当かい?サ◯エ!
「いやいや、流石にしつこいって神様
真面目に教えてくれよ」
「い、いえ、これは本当なんですって
ママがパパのパソコンのコードに足引っ掛けちゃいまして……」
……ああ、やっぱり海は広くて落ち着くな
見ていると何だか涙が出ちゃいそうだ
「えっと…… マジで?
マジでそれで世界が終わったの?」
「……はい、うちのママがごめんなさい
で、でも!悪気は無かったと思うんです!」
これだから女ってやつぁ
「……えーっと
じゃ今までそのパソコンで世界を管理してたんだ?」
「ただのパソコンじゃないですよ
何と!スーパーパソコンです!」ドヤァ
……コレ反応したら負けなアレだな
「バックアップは?」
「バックアップ……ですか?
……ちょっと何言ってるかわかんない」
「何でだよ!!
分かるだろ!バックアップぐらいよ!
……あーもう、おまえじゃ話になんない
ちょっと親父出して」
「パパは愛人のトコに行ってて留守にしてます」
愛人て ……ヒデーなこの家族
誰一柱常識神がいねー!!
「あー…… 分かった分かった、もういいわ
……取り敢えず俺をここから出してくれ」
「え? 何でですか、ダメですよ
折角、私が作ったんですから!」
「…………え?」
「だから!私が作ったんです!
新世界第一号の人間と海とベッドを!」
……という事はまさか俺があのアダム?
蛇に唆されてダメって言われてたリンゴ齧っちゃったけど質問ある? で有名なアダムさんなのか?
「……ビックリしました?」
……俺は初めてそれを聞いた時
アダムこいつ何してんのって確かに思った!
ああ、思っていたさ!
「……もしもし? 聞いてます?」
しかし、もし今ここに知恵の実のリンゴが落ちて来たらどうだろう?果たして僕は誘惑に抗えるのだろうか
僕は理解していなかったのかも知れない!この飽食の
「アレ? 電波悪いのかな?」
時代の影でリンゴ一つ食べられず死んでいった人々の心の声を!そうさ!きっとアダムもそうだったんだ!
泥臭く生へしがみつき、素っ裸で餓死を待つだけの
「もしもし? もしもし?」
タレに愛想を尽かしてその手は未来を選んだ、さしずめアダムは世界最初のパイオニア!エデンのコロンブ
「おかしいなぁ 繋がってはいるんだけど」
スだったのでは無いだろうか!?コロンブスに降る雨はきっと今日も止まず、その高潔な精神を理解できな
「もしもし?もーしもーし!!」
い、愚かな民草のディスりを甘んじて受ける、さながらその姿は楽園のジャンヌダルクと重なり、相棒のジ
「もしもし!もしもし!もしもしっ!!」
ル・ド・レさえも……って!
「うるせぇな!!
良い言葉言ってんだから女は黙ってろよ!」
「うひぃ!
い、いきなり大声出さないで下さいよ!!
心臓止まるかと思ったじゃないですか!?」
「……まとめると
つまり俺が新世界のアダムって訳なのね?」
「あ、それ違います
うちはギリシャ神話の方です」
「あ、そう
因みに聞くんだけどお姉さん名前は?」
(ん、んっ!…………)
?
「……良くぞ聞いてくれました
我が創りし小さな人間よ」
「いや、めんどくせぇからそういうのイイわ
名前だけ教えてくれりゃいいからさ」
「…………
我は月の女神にして、民に豊穣をもたらす存在」
あ!こいつシカトしやがった!
「その他にも狩猟とか純潔とか森とか子供とか
兎に角、色々こなせるマルチで知的な
神界きっての美少女神そう!我の名はアルテミス!」
「……あー、聞いた事あるわ ……確か処女神とか」
「しょ!処女ってゆーな!!バカッ!」
プツッ、……tuu ……tuu
……もういいや、寝よ