第1問
初めまして、紗倉凜子です。この度本サイト様ではじめて小説を書かせていただきます。
至らない点も多いかと思いますが、少しでも読んでいっていただけると幸いです。
真っ青。吸い込まれてしまいそうな、むしろ吸い込まれてしまいたいくらいに濃く深い青色の空が、窓の外にあふれる。手元。愛用のシャープペンシル、だんだん塗装が剥げてきて、ほとんど透明になってしまったピンク色のクルトガと白のドクターグリップ、先週の誕生日に友達にもらった魚柄のペンケース。「進学辞典」なる、さまざまな大学の情報が載っているらしい分厚い冊子、いつだったかに受けた模試の成績表、前の席から送られてきた、「進路希望調査票」。
――この紙、本当にあるんだなあ。
フィクションだと、なんならファンタジーだと思っていた。学園ものの小説やマンガ、ドラマやアニメなどの登場人物が、この紙きれに悩まされるのを見ては、しきりに大変そうだなあなどと同情したものだった。実際に自分が突き付けられてみると、このぺらっぺらの紙切れ次第で私の今後恐らく一生涯が決まってしまうということに恐れおののく。私はノンフィクションの現実世界に生きる、人間だ。普通過ぎて普通じゃないくらいに、そのへんによくいる普通の人間で。だからここに、何も書けない。
読んでいただいて、ありがとうございます!
感想などいただけると嬉しいです。