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髪を切った

「おっはよー!」


 きらりんは今日も元気に彼氏の家へとやってきました。どうせまたゲームでもしてるんだろうと思いきや、べるちーは倒立をしていました。


「どうしたの? 私が可愛すぎて直視できないから、そんな風に逆さまになっちゃってるの?」

「ゲームばかりじゃ体がなまるからな、こうして時には特訓してるんだ」


 きらりんは彼氏のこういうストイックなところも好きでした。以前、無気力系草食男子と紹介しましたが、いつもそうだという訳ではありません。こうして体を鍛えたりもするのです。


「がんばってー!」

「ああ、応援してくれ。ふっ、ふっ」


 彼氏は倒立したまま腕の屈伸運動をしています。浮き出る筋肉に、きらりんはすっかり見とれてしまいました。こんな腕で抱き締められたらどうなっちゃうんだろー、と無意味な事を呟きながら。


「あのー、べるちー。ところでね」

「ふんっ、ふんっ。ふっ、ふっ……なんだよ、後にしてくれないか。いま忙しいんだ」

「そ、そうだよね。でもさ? 伝えたいことがあってね」

「ふっ、ふっ、ふっ、ふっ。うるさい、静かにしてろ」


 このままではまともに会話が成り立ちません。仕方なく、きらりんは自分の頭を指差しました。


「昨日までの私と違うところがあるの。気づかない?」

「お前はお前だ、いつもと変わらん」

「そんなことないと思うなー。どこかが、すこしだけ、でも、確実に変化してるんだよねー」

「知らん。お前はお前のままだ、可愛いよ」


 可愛いよ、という言い方はまるで紙に適当に書かれただけの文字を読み上げる様な、抑揚のない口調でした。

 さすがのきらりんもこれではまったく面白くありませんでした。さぁて、前置きはこれくらいにしておいて、いつものやついっちゃいましょうか。



「髪を切ったんだよ!! 気づけよこのボケェェェェェェェェェェェェェェェェ!!」



 目を血走らせながらべるちーに襲い掛かるきらりん。逆立ちしたまま器用に逃げ回るべるちー。鬼気迫る表情のきらりんとは正反対で、彼は珍しく笑みを浮かべていました。


 草食男子であっても時には笑ったりすることもあるのです。



「何がおかしいんじゃこのヒョロガリがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! テメェのあばらを洗濯板がわりにしてやろうかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ?!」

「どうした、俺に追い付いてみろ。愛してるんならな」



 今回は貴重な笑うべるちーをお届けいたしましたが、いかがでしたか? うふん。



~続く~

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