ゲーム
いつもと違って今日はお家デートです。
「ねえねえそれ何のゲーム? 教えてー」
「お前には説明しても分かんないよ」
べるちーは横になって携帯型のゲーム機とにらめっこしています。きらりんはさっきからかまってオーラを出しまくっていますが、まるで気づいてくれるそぶりはありませんでした。
「聞いたことあるよこういうの。なんかほら、あれでしょ? 戦国武将が雑魚どもをばっさばっさとぶったぎるみたいなやつ!」
無視されました。いつもの事ですが、きらりんの怒りゲージが沸々と溜まっていきます。残念ながら、彼女はそれほど気が長くありませんでした。
「べるちーはゲームしてる姿もいけてるね! かっこいいなぁー」
きらりんは心にも思ってないことを大きな声で伝えながら、部屋を見渡しました。なんとも殺風景で、女の子を迎える気があるのかと聞きたくなるほど何もありません。
ですが、部屋の片隅にはゲームのジャケットが積まれています。もう、目も当てられないほどの高さです。
「こんなにあるんだね。べるちーってやっぱりゲーム大好きなんだぁ!」
「そうだよ」
「でもでもー、私の事はもっと好きなんだよね?」
「ああ、そうだ」
「ふーんなるほどなるほどー、なるほどねー。それを聞いて安心しちゃったぁ!」
彼女の身長よりも高く積まれているジャケットタワー。それをもう一度見た瞬間、ブツンッときらりんの血管が切れる音がしました。
「ワリカンばっかでケチってるくせして、こんなにゲーム買い込んでんじゃねーぞこの野郎!! これ全部叩き壊して、産業廃棄物にすんぞコラァ!!」
この時の為に持ってきておいたお手製のハンマーを振り上げ、怒りを露にするきらりん。
凄まれても表情ひとつ変えずゲームを続けるべるちーと、怒りの矛先をどうしたらいいのか分からず固まるきらりん。
なんだかんだで二人は仲良しラブラブなのでした。はい、おしまい。
~続く~