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片翼の翼  作者: 佐藤 志美
1/1

百合の蕾は何を夢みる

惑星ラグナロク

この世界で最も親しまれている物語と言えばこの創世神話であろう。



ラグナロク創世神話

翼を持つ我らが女神がこの地を創世神より賜った時、かの地は草木すらない荒地でありました。

心を傷めた女神は己の左右の翼から1枚づつ羽を抜き取り右羽から雄株、左羽から雌株の羽草を創造しこの世に生を授けました。

その後両翼より一枚づつ羽を抜きこの世の生物の番全てを創造し、最後に残った左羽の2枚を使い自分に似せた姿の人間を創造されました。

しかし、左羽からのみ創造した2人の人間はどちらも女の性でした。

女神はこの人の子らをいたく気に入り姉にはエバ、妹にはイブの名を与え永遠の時を楽園で過ごすよう祝福しました。その他の生物には有限の時と楽園の外でも生きる事を言い渡しました。


女神の創造から永き時を経て女神の在わす楽園も楽園の外も豊かな地へと姿を変えました。女神のお示しの通り草木や動物は子を産み育み人以外は群れを成しこの地に根付いておりました。


楽園の中で人の子イブは愁いを称えた瞳で姉エバに言いました。

「姉よ、貴女が男であったのならばどんなに幸せであっただろう。さすれば私達は永遠に2人でなくてすんだのだから。」

それは女神への呪語、裏切りの言葉でした。

その時より妹イブは女神の祝福が消え、有限の時を生きる事となりました。


それ知った姉エバは女神のもとへ走り乞いました。

「妹1人有限の時へと堕とされたのであれば、私も有限の時を生きる事をお許し下さい。

もしお許し頂けなければ私も呪語を口にいたしましょう」

女神は姉エバが男の性になるのならば認めよう。その為には其方の躯体に宿った祝福を私に捧げなさいと悲しげに仰りました。

エバは自身の長く輝く髪を女神の前に下ろし置きました。

女神はその髪から一雫の涙と雲雀のような歌を祝福に右羽を創造しエバに与えました。するとエバは見る間に男へと姿を変え有限の時を生きる者となりました。

女神はエバにアダムの名を与えると、エバと供に楽園から追放したのでありました。



楽園を追放された2人は夫婦となりこの地の中心に居を構え今日の人類の祖となったのでありました。



楽園の時より少しの時が過ぎた頃、地上にはアダムとイブの子らが数多く生活しておりました。しかし産まれた子らは皆女の性だったのでアダムとイブは途方に暮れました。

2人は楽園から降りた時より女神の丘と呼ぶ丘の上で女神に祈りを捧げました。


娘達の望む性をお与え下さいと。


すると天から一筋の光が射し、末娘ノアを包みました。光に包まれたノアの背からは翼が現れ、女神の声で雲雀のように歌い一雫の涙と引き換えに姉達に性を与えてゆきました。


その後末娘ノアは生涯性を選ばず女神の楽園へと召されたのでした。



その後も、ノアは性を司る天使としてこの世界に度々降臨されるそうで御座います。



ラグナロク創世神話 第1章 完

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