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ディテクト  作者: 榎本瑞生
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プロローグ:都柴誠

「要求」


「はい」


「ポスト、投函物確認」


「かしこまりました」


俺は家に居るアンドロイドに命令を出す。こんな風に、人間との主従関係を成立させて命令に従い、効率よく運用する。

そんな俺は何をしているのかというと、木目の入った高めのシャープペンシルを片手に単行本ほどの大きさの日記帳に日記を書いている。一般の人は、日々あったことを記録することが当然だろうが、俺の場合はその日に考えていたことを書いておく。その時考えたことをもう一度考え直すことはほとんど少ないから、俺はその時間毎の思考を丁寧に記録しておいて、時間が経ってからさらに考える機会を設けているのだ。

つまり俺の中のハードディスクだ、人間はアンドロイドとは違う、なぜならミスを犯すからだ。俺はそのうちの忘却というミスに対して対策を行っているに過ぎない。筆を黙々と進めていると、先ほど指示を出したアンドロイドが俺の書斎に戻り声をかけてくる。


「投函物をお持ちしました」


無言で手に持っている手紙やらなんやらを取って一つ一つ誰宛か確認する。その間でさえアンドロイドは立ち止まって指示を待っている。


「自動車会社?…あぁ広告か、これは母さんの友達関係か、…ん?」


一つだけ封筒のものがある。俺は引き出しからハサミを取り出して封筒の上を切り取る、切ってから手を封筒の中に突っ込んで中の紙を取り出す。中を見てみれば待ち望んでいた物が届いていた。


ディテクトの招待状。俺はずっとこれが欲しかった。俺はずっとこのスポーツに憧れていた。


ディテクトというのは、日本公認のスポーツだ。別名「心のスポーツ」とも呼ばれている。例えばゲームを使った大会のことを「e-sports」と称しているが、それに近い物である。ゲームの内容をざっくりと言えば10人の中からアンドロイドを見つけ出す10日間の疑心暗鬼戦だ。これに勝てば賞金はたしか1億円。勝者の銀行にお金が振込まれる。

俺はそれほど金を目的としてやるつもりではないのだが、人間とアンドロイドに有って無いものを自分自身で確かめたいと思ったからだ。きっと人間よりもアンドロイドは完璧にできている。できているからこそどこかに欠陥があるはず。俺はその欠陥を知りたい。


「スケジュール、明日から10日間、ディテクトで」


「かしこまりました、都紫誠(としばまこと)さん、翌日からの10日間、ディテクトによる外出とデータに書き込みます」


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