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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

Fate

しれっとBLです。あまりそういった要素はありません。それから、少しシリアスすぎたかもしれません。ご注意を。

*fate[ fit ]



[名][U]


1 ((時に F-))(人の)運,巡り合わせ,運命;宿命


2 神の摂理,天命,天の定め.


3 [C]死,破滅


4 ((the Fates))ギリシャ神話(人間の誕生・生涯・死を支配する)運命の三女神.


5 (順調な)発育.


━━[動](他)((受身))(…する)運命である((to do))


[ラテン語ftum(神の言葉). 古代人は神の言葉を運命だと信じた]



引用:プログレッシブ英和中辞典










少年は運悪く、恋した人を死に追いやることが多かった。



そんな少年は、"教育"を受け、年端もいかない内に、最強の殺し屋になった。



愛した人がいた。幾人も失った。ある時は事故で、ある時は、少年の手で。




少年はいつも孤独だった。



なぜ生きているのかわからなかった。



恋などしなければいい。そうすれば恋した人を殺すことも、自らの心を殺すこともなかったのに。


逆らおうとしたこともあった。




何度逆らっても無駄だった。




いつしか少年は、"Fate"と呼ばれた。その運命は少年を蝕み続けた。



少年はいつも、死んでしまおうと思い悩んでいた。


それさえも無駄なのに。




何回目かの恋は、また諦めと絶望から始まった。



少年は、最後のため息を銃に込め、こちらに背を向けている彼の背中に向けた。





指令通りに引き金を引く。少年の恋はその瞬間に終わるはずだった。



銃弾は彼の向こうの壁にめり込んだ。



「なぜ..かわせるはずが..!」



少年の銃弾が当たらないことはこれが初めてだった。



銃の音に慣れていないはずの"育ちのいい"彼が、すました顔で振り向く。



「驚いたかな、僕はちょっと変わっててね。君になら教えてもいいかな」


そう言って、紅茶のカップを口に運ぶ彼。


「...後ろに目でもあるのか」


「おしいな」


茶目っ気のあるウインクが、場に似つかわしくない。あまりにも落ち着いた彼。少年は少し怖くなった。


「じゃあなんだ」


動揺を悟られぬように、少年は少し力を込めた。


彼は少しだけカップへと目線を落とした。



「未来がね、見えるんだよ」



少年は、これほど馬鹿らしいことを聞いたのは初めてだと思った。



「未来?戯言を言うな」


少年は少し呆れたが、彼を殺すために殺した自分の心が、その時また息を吹き返したのを、確かに感じた。


彼は少しだけ微笑んで、また紅茶を飲む。


「君だって似たようなもんだろ、コードネーム"Fate"。何人も殺して来た」


コードネームなど話していない。自分が殺されることなど、ましてや少年が殺した人のことなど、彼が知るはずもない。


「そうだ。だからお前も...」


少年は臆していた。


「いいや、君に僕は殺せない。いくらやっても同じだ。それとも、まだ試すかな?百発百中の最強ヒットマンさん」


そう言って彼はティーセットを傍らのテーブルに置いた。


「お前....」


少年は混乱していた。


「もう少し、そばに寄っていいかい?」


少しずつ少年に歩み寄る彼。


「よ、よせ!来るな!」


手で制し、身を引く少年。その手を彼は取る。


「大丈夫だ、大丈夫」


優しく囁き、手を引き、あやすように少年の体を抱きしめる。


「いやだ..いやだ...!!」


少年は泣いた。近づけば必ず失ってきた少年は、ほんの少しの幸せすら、涙を流すほど痛いのだろう。彼はその涙を拭う。



「僕なら、君に殺されない」


「本当か...?」


「約束するよ」


「俺は..お前を殺さなくて、いいんだな...?もう、殺さなくて...いいんだな...?」


少年の頬を涙がいくつも流れる。彼は優しく見つめる。


「そうだよ、もう殺さなくていいんだ」


その時、初めて、少年は安堵した。



「よかった」







その後、この二人がどうなったか、誰も知らない。






End.

本当にメモ書きですみません。思いつくまま書きました。読んでいただき、ありがとうございます。

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