DAY2-異変
「さてと…朝飯朝飯…」
軽い足取りで朝食会場に向かった和人は、そこで異様な光景を目にする。
会場全体が沈黙していた。
誰も料理に手をつけていない。泣き崩れる人、呆然と立ち尽くす人、そして――
「なんで…!なんでよぉおおお!!!」
テーブルにしがみつき、叫ぶ若い女性。その肩をも支えない。
「……何があったんだ?達夫…」
「……ああ、和人。実はよ……あいつの恋人、昨夜、殺されたらしいんだ」
和人は言葉を失った。
「……殺された? この船で?」
肝が冷えるような感覚に襲われた。
「誰かに殺されたってんのかよ?」
「それもわかんねぇんだ…」
『恋人役職の一方の死亡を確認。相互リンクに基づき、対になる恋人も強制終了されます。』
「がっ…!」
突然女の人が倒れる。
どっと人だかりができる。
「おい…死んでるよなこれ…」
「どうなってんだよ!」
目の前がぐにゃりと歪む。
「なんだ…何が起こっているんだ…」
「まさか…思ったよりもやべぇ事に巻き込まれたんじゃ…」
そうして会議も何事もなく終了し、和人と達夫は帰路に着く。
「本当に死んだのか…?本当に…?」
半ば自分へと問いかけるようにさっき女性が倒れた箇所を見つめる。
昨日までは、ただのおふざけ、ゲームだと思ってた。
「なんで…なんで死んだんだ…ゲームしゃねぇのかよ…」
昨日と同じく、また青い『占』の画面が表示される。
唯一、変わったところがひとつ。あの女の人ー
「高安 加奈子」の名前と「高田 康二」の名前にバツがつけられていた。
「なるほど。死亡がわかるのか」
今日は適当なやつを占うことにした。
「田中 高子」
『対象役職は"警察官"です。』
「警察官…?なんだ警察官って…?」
「とりあえず明日聞いてみよう…ふぁ〜眠…」
そうして、和人は再び眠りについた。