DAY1
『あなたの役職は"主人公"です。』
「うぉっ!?」
突然脳内に流れ込む声で和人は飛び起きる。
「なんだ今の声は…?"主人公"?」
「なんなんだよ次から次へと…とりあえず他の人にも聞いてみるか…」
朝食を取りに向かいながら、和人は適当な人に声をかける
「なぁ、"頭の中の声"を聞かなかったか?」
「え?お前もなのか?実は俺も聞いたんだよ」
(やはり、俺だけじゃなかったか。どうやら全体に何かしら通知されたようだ)
「ちなみになんて言ってた?」
「うーん…なんか『あなたは参加者です。安全に生きのびてください。』とだけ…」
「そうなのか。俺は『主人公』とだけ聞こえたんだ。」
「なんだそれ。俺のよりもかっこええやん。」
「ははは。ちなみにお前なんて言うんだ?」
「俺?俺は安坂達夫だぜ。田舎の方から来たんだ。母ちゃん病気でよ…」
「そうか。俺は澤本和人。よろしくな。」
「よろしく〜!」
『"会議"の時間です。皆さんは会議室まで移動してください。』
食堂にいた全員がざわめいた。緊急放送のような無機質な声が、天井のスピーカーから響く。
「会議室?どうする?とりあえず行ってみるか。」
『全参加者の出席を確認。』
『参加者のロックを開始します。会議は4:00分までです。』
その瞬間、和人の手足に衝撃が走る。椅子に組み込まれていたロックが作動し、腕と足首が拘束された。
「うっ!?」血の気がさっと引く
「なんだ!?クソっ動けない…4:00分まで?どういうことなんだ?」
周囲も混乱しているようだ。
誰かが泣いてる声も聞こえる。
ウィーン…
「なんだこれは…?」
机の中心からマイクがせり上がる。
『会話は順番にマイクを通してのみ行ってください。制限時間は一人30秒。』
「なんだこれは!」最初のマイク音声者と思われる人が叫んだ。
「俺たちを解放しろ━…」
『30秒経過しました。次の人へと移行します。』
そうして次から次へと移り変った。皆が困惑、または怒りに満ちた声が聞こえる。
俺の番。「え〜…みなさん…とにかく落ち着いてください。多分4時には解放されます。この会議が何を意図したものかは分かりませんが、とにかく指示に従いましょう。」
「なんだお前、何さま…」
『会話は慎んでください。』
『30秒が経過しました。次の人へと移行します。』
『全参加者の対話時間が終了しました。』
『投票を開始します。投票数が最も多かった者が"海へ追放されます。"』
ザワザワザワザワザワザワザワザワ…
『会話は慎んでください。』
どうやらこの脳内音声には逆らえないようだ。
『それでは、投票を開始します。投票しない場合は、スキップを押してください。』
『投票が終了しました。』
『追放判定なし。スキップが全数を占めました。』
ガシャン
「いて〜…なんだったんだろうあれ」
「わかんねぇけどよ、とにかくなんかやべぇんじゃねぇのかこれ?」
また安坂達夫だ。
「追放ってなんなんだ…?まさか殺されるとかじゃ…」
「流石にねぇだろ、ゲームだよゲーム。」
「だよなぁ…」
とりあえず疲れたので夜飯を食って寝ることとした。
その夜。
『"占う"人を決めてください。』
「うっ!?」
また飛び起きた。
目の前を見ると人の名前が乗ってるパネル。
どうやら参加者全員の名前が載ってるようだ。
「安坂…達夫…」
あいつの名前。
「試しに占ってみるか…」
ピコン!画面が青白く光り、達夫の顔が映し出される。『安坂達夫は、『参加者』です。』
「あいつの言ってた通りだ…まさか役職があるのか?だとしたら俺のを"主人公"の能力ってこれか?」
「考えてもわかんねぇ…明日にするか…」
和人は再び深く寝息を立て始めた。