エイプリルフール
エイプリルフールに何か書きたかった
只それだけデス
「ずっと好きでした。 オレと付き合ってください!」
新学期が始まると愈高校生活最後の学年。 本格的に受験体制に入る前にと何時ものメンバーで集まろうとやって来た待ち合わせ場所。
何時も遅刻ギリギリで走って来る彼が一番乗りで驚いている処に追い討ちをかける吃驚発言。
「どうしたの?今日は早いのね……」
雨でも降るんじゃない? 続ける間もなく、真剣な顔をした彼が口を開く。
「ずっと好きでした。 オレと付き合ってください!」
え、えっ! ナニっ? 今、彼は何て言ったの?
「もう直ぐ志望校も決まるだろ? このままお別れなんて嫌だからっ……だから、オレと付き合ってっ、 彼女になってくださいっ!」
顔を真っ赤にして、少し震えた声でそう言う彼の後ろから友だちが近付いて来るのが見えた。
「あ、皆来たみたい。 えっと、返事は後でもいいかな? 帰るまでにはちゃんと考えるから」
そう言ってから皆の方に手を振って合図する。
近寄って来た皆は彼を見て驚いている。 そうだよね、何時も一番最後に来るもんね。
「あれーどした~? いっつも最後のユージが一番乗りって」
「あーっ、ひょっとして遂に玲美に告ったのぉ?」
「えっ、マジかよ」
皆がワイワイと騒ぎだす中、彼は真っ赤になってあたふたしている。
「ばっ!!おまっ、ナニ言ってるっ! 『遂に』とか、ばらすなよっ!」
え、何? 皆知ってたの?
……って今日って四月一日? 皆で私を騙そうってコト?
「あぁ、そっかぁそう言うコトかぁ……」
なぁんだ皆の何時もの冗談かぁ。 私は同じクラスになって直ぐに祐二を好きになったんだけど皆知らないもんね。
笑って騙されてあげなくちゃ……
何て答えれば皆笑ってくれるかな? 俯いて考えていると歩道にポツポツと染みが出来ている。 アレ?本当に雨が振りだした?
「なっ? レミっどしたのっ!? そんなにユージに告られたのイヤだった?」
えっ、皆慌ててどうしたの?
「……泣く程、オレと付き合うの嫌だった?」
イヤイヤ、祐二の方が泣きそうな顔してるから……って、え、私泣いてるの?
もう、冗談では返せない。
「ごめっ、、、エイプリルフールには付き合えそうにない。 だって私は本当に祐二のコトをっ……」
駄目だ。 そこまで言ったら涙が止まらなくなっちゃった。 雰囲気悪くしちゃってゴメン。
踵を返して逃げようとした私の腕を彼が掴む。
「何だよ、エイプリルフールって! オレの本気を、告白を冗談にするなよっ!」
――えっ? 本気……なの?
「ねぇねえ、じゃあ二人は両想いってコトじゃん?」
「あー、じゃあオレたち邪魔者は消えるわ」
「後はお二人さん初デートってコトでヨロ」
何処いくべーとか言いながら私たちを置いて友だちは歩きだした。
「皆サンキューなっ! また今度遊ぼうぜ」
そう言ってから彼は私の方に向き直り笑って告げる。
「レミ、知らないの? エイプリルフールに嘘ついていいのは午前中だけだぜ?」
千文字何分で書けるかな一人チャレンジ
一時間半で1162文字でした