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一周年イベント

 ローズは自分のスタイルを確立し、攻め方の幅も増えた。


 しかし、公認プレイヤーとの対戦はまだ負けが多い。


「もっと良い戦い方はないかな?」


 ローズは呟きながら、ランクマッチを続ける。


「…………これは好きかも」


 ローズは試しに入れてみた『ミサイル艦』に好感触を持った。


 ミサイル艦は圧倒的な火力と引き換えに防御力が低い。

 さらにミサイル攻撃はビーム攻撃に比べると攻撃速度が遅く、精度も悪かった。


「だけど、この圧倒的な火力は魅力的。何とか、敵艦隊に肉薄しちゃえば、攻撃速度の遅さも精度も関係ない。それにミサイル艦は考察も進んでいないし……」


 使いづらいミサイル艦の評価はどこのサイトでも最低評価のDだった。


 だからこそ、ローズはミサイル艦に可能性を見出す。


 それからローズはミサイル艦艦隊を生かす戦い方を模索する日々を送った。


 そして、効果的な戦術をいくつか発見する。


「やった! これで十連勝!」


 自分独自のスタイルを確立したローズは公認プレイヤーにも勝てるようになった。


 一カ月が経過した頃には階級が中将になる。

 これは公認プレイヤーを除けば、一般プレイヤーの中で最高の階級だった。


「この人はなんなの?」


 だが、ローズには不満があった。


 一般プレイヤーでローズと同じ中将の階級になっているプレイヤーがいる。


「シン……一体何者?」


 ローズは何度もシンと戦った。


 通算の勝敗では負け越している。


 それにまだシンは余力を残しているようだった。


「まぁ、いいよ。絶対にその内、完勝してやるから。…………げっ、ペスカトーレ!」


 ローズは次のランクマッチの対戦相手の名前を見て、悲鳴を上げた。


 対戦相手は現在、ランキング外のペスカトーレ。


 しかし、ローズはペスカトーレと相性があまり良くなかった。


「この人の戦い方は機械的なんだよねぁ。揺さぶりは効かないし…………」


 愚痴りながら、対戦を開始する。

 ローズは自分の弱点を知っていた。


『銀河大戦』を始めて以来、相手の意表を突く奇襲・奇策に特化した攻撃型のスタイルを貫いているせいで、正攻法があまり得意じゃない。


 だから、ペスカトーレのように揺さぶりに動じない相手と正面からの戦いになると技量の差が出てしまう。


 結局、今回も負けてしまった。


「この人はその内、ランキングに入って来るね。それまでには私ももっと強くなりたい」


 ローズは今更、自分のスタイルを曲げるつもりは無い。

 自分の好きなスタイルで勝つことに楽しみを見出していた。


「とりあえず、今日は悔しいから、ペスカトーレを作って、食べて、寝る!」


 ローズは今の戦い方が自分の技術と性格を最大限に活かせると信じている。

 もし、他の戦術を使ったら、自分自身の長所を消してしまうと思っていた。


「まだまだ私は成長途中だよ!」


 やがて、ローズの超攻撃型のスタイルは『銀河大戦』の中でも有名になる。


 リリース九ヶ月が経つ頃には、ベスト10入りもするようになり、ローズのことを『銀河大戦』最強のプレイヤーと評する人も出始めた。


 ただし、ローズ自身はその評価を疑問に思っていた。


 未だに苦手にしている対戦相手はいる。

 それに数をこなすことに意味があるランクマッチでは計れない部分もあると思っていた。


「ランクマッチとは別に大規模な大会とかをやってくんないかな?」


 そんなローズの望みが叶ったのは、それから少しした時だった。




「『ラグナロック星域会戦』?」


『銀河大戦』がリリースされて十一カ月。


 運営から告知がされたのは一周年記念のイベントだった。


「ふ~~ん、100万ドルとは大きく出たね」


 ローズは呟いたが、賞金自体にはあまり興味が無かった。

 彼女なら、それくらいのお金を別のことで稼げる。


 それでもローズは心が躍った。


 このイベントには多くのプレイヤーが本気になる。


 今までのようなランクマッチ向けの戦い方じゃなくて、一戦一戦が重要になるので戦術は研磨される。


 ローズの待ち望んでいたイベントが開催される。

 彼女は心が躍った。


「今から楽しみ。さてと勝つ為に出来ることをしよ」


 ローズはイベントの為に準備を始める。


 といっても、今更、大きくスタイルを変えるつもりは無い。


「超攻撃型の戦術で勝つよ!」


 ローズはイベント当日をまだかまだか、と待ち望んだ。


 そして、やっとイベント当日になる。

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