怪盗の心得
怪盗たる者、常に紳士たれ
力無き弱者に寄り添い、力を悪用する『ブタ』共を敵とせよ
例え自分が不利になろうと女性と子供を守り助け、卑しき身分の者にも高貴な身分の者にも敬意と誠意を持って接せよ
その身は汚れた盗人であっても、心は気高き騎士であれ
怪盗の盗みとは、世の人々に煩わしい現実を忘れさせ、一時の夢を見せる最高のエンターテイメントなり
万人が思わず見とれてしまう華麗さと鮮やかさを常に心がけよ
怪盗たる者、暴力的手段は最小限に抑え、殺人は最終手段とせよ
暴力的手段を多用し、宝だけでなく人命まで奪うは怪盗にあらず、強盗の所業なり
強盗は盗人の中でも最も卑しく醜い者、騎士の心を持つ怪盗とは相容れぬ浅ましき存在なり
決して強盗に落ちることなかれ
怪盗たる者、一度『盗む』と宣言したらば、それが実体無き宝であっても必ず盗め
怪盗に盗めぬ物はただ一つ、自身の『妻』または『夫』となる者以外の『心』なり
ただし、過失にて『心』を盗むは不問とす
『宝』とは金銀や宝石、巨匠の生み出したる芸術品のみにあらず
万人にとってはゴミ同然でも特定個人にとっては金では変えられない品、持ち主や作り主の強い思いが込められた品もまた『宝』なり
力無き弱者を苦しめ私腹を肥やす人の皮を被った『ブタ』共より宝を取り上げるのが怪盗の使命なり
しかし、決して自らを『勇者』や『英雄』と傲るなかれ
怪盗もまた、『ブタ』共と同じ罪人である事を忘れてはならぬ
怪盗たる者、何者にも縛られぬ者であれ
国の定めし法と社会の定めしルールの外側にある者であれ
怪盗を縛る物はただ一つ、自らが定めし信念と誇りのみなり
怪盗たる者、弱き者からの恩と施しを一生涯決して忘れる事なかれ
気高き騎士の心でもってその恩と施しを千倍にして返せ
怪盗たる者、仲間を決して見捨てる事なかれ
いかに盗みの天才と言えど、たった一人では可能な事にも限りがある
仲間を信じ、力を借り、仲間の危機には必ず手を差し出せ
仲間との絆は時に千の銃以上の武器となるものなり