アイリスIF大賞の結果を分析・考察してみた!
2022年8月31日。
「第1回アイリス異世界ファンタジー大賞(アイリスIF大賞)」の結果発表がありました。
この「アイリス異世界ファンタジー大賞(アイリスIF大賞)」というのは、女性向けの「恋愛」「ファンタジー」をメインテーマにした作品を募集している企画のことです。
第1回の開催期間は2022年3月10日から6月9日までの3ヶ月間でした。
株式会社一迅社様とのタイアップ企画で、受賞作品は書籍化するみたいです。
私は自分の好みに合うお気に入り作品を探すため、このアイリスIF大賞の応募作品をポイント関係なく読みあさっていました。
その時に気付いたことは、エッセイにまとめています。
作品タイトル:『アイリスIF大賞の応募作品を100作品読んでみた!』
作者名:うさぎ妖精
作品URL:https://ncode.syosetu.com/n0457hq/
100作品どころか、最終的に225作品読みました。
そうして、無事に自分の好みに合うお気に入り作品を17作品発掘しています。
まあ、その話はおいておくとして。
アイリスIF大賞で受賞するにはどんな作品が有利なのかを知りたい!
というわけで、気になった部分を簡単にデータ分析・考察してみました。
数字がいっぱい出てくるし、やたら長くて大変なので、すぐに結論が知りたいという方は『まとめ』というところまで飛ばして見てくださいね。
ちょっと悲しい気持ちになるお話なので、心の準備をお願いします。
* * *
1.受賞作品について。
(結果発表のあった8月31日時点の数値をもとに計算しています)
・金賞1作品 銀賞7作品 審査員特別賞9作品
(金賞・銀賞は4万字以上の中・長編、審査員特別賞は4万字未満の短編)
・総合ポイントの平均:26356pt
中・長編:28536pt(最高52650pt 最低21292pt)
4万字未満の短編:24419pt(最高57412pt 最低504pt)
・平均評価点の平均:8.9
中・長編:9.1(最高9.5 最低8.4)
4万字未満の短編:8.8(最高9.2 最低8.2)
・流行ワードが入っている確率:52.9%
中・長編:37.5% 4万字未満の短編:66.7%
・完結率:94.1%(ただし連載中のものも本編は完結済みなので、実質100%)
中・長編:87.5%(実質100%) 4万字未満の短編:100%
・連載時期の範囲:2016年5月25日~2022年8月31日
中・長編:2020年6月2日~2022年8月31日
4万字未満の短編:2016年5月25日~2022年6月23日
・文字数の平均
中・長編:248612字(最高553293字 最低47698字)
4万字未満の短編:17644字(最高26908字 最低5303字)
・応募総数すべて(2143作品)に対しての受賞率:0.8%
2.一次通過作品について
・一次通過作品数:57作品
・総合ポイントの平均:20471pt
(最高80726pt 最低2312pt)
・平均評価点の平均:8.9
(最高9.6 最低8.1)
・流行ワードが入っている確率:59.6%
・完結率:84.2%
・文字数
10万字以上の長編:73.7% 10万字未満:26.3%
3.一次通過・受賞した作品について
・総合ポイント別の割合
一次通過・受賞した74作品を、総合ポイント別に分けてみます。
0~99pt:0作品(0%)
100~999pt:1作品(0.1%)
1000~2999pt:1作品(0.1%)
3000~9999pt:13作品(17.6%)
10000pt~:59作品(79.7%)
・文字数での通過率の違い
一次通過・受賞した74作品を、文字数10万字以上と未満で分けてみます。
10万字以上:49作品(66.2%)
10万字未満:25作品(33.8%)
4.アイリスIF大賞の結果分析&考察に関するQ&A。
Q.応募作品全体のポイント帯ってどんな感じだったの?
A.
0~99pt:41.2%
100~999pt:29.4%
1000~2999pt:10.0%
3000~9999pt:11.7%
10000pt~:7.0%
(pt非公開などは計算できてません)
つまり、応募作品の92.3%(約2000作品)は10000pt未満の作品でした。
この情報をもとに10000ptより上か下かで作品を2つに分けて、簡単にですが通過率を計算してみました。
10000pt未満の作品・約2000作品のうち、一次通過・受賞したのは15作品。つまり通過率1%弱です。
一方、10000pt以上の作品・約150作品のうち、一次通過・受賞したのは59作品。なんと通過率約40%! この通過率の違いはかなり異常ですね。
なので、ポイント重視の選考が行われたのは確実みたいです。
Q.ポイントで足切りしてそう?
A.たぶん3000ptで足切りしていると思います。
504ptの作品と2312ptの作品が通過してますが、これは残念ながら、作品を読んで選んだとは考えにくいです。なぜなら、その2作品の平均評価点は8.2と8.1だったから。
(平均評価点8.0以上は普通、8.5以上は面白い、9.0以上はかなり面白いというイメージです)
3000pt未満の作品で8.5以上の面白い作品、けっこうあるんです。普通に考えればその8.5以上のものを選ぶはず。つまり、3000pt未満の作品をまともに読んでないから、こうなってしまったと思われます。
よって、ポイントで足切りしている可能性はかなり高いです。
Q.受賞するにはポイントがどれくらい必要なの?
A.恐らく20000ptは必要。中・長編の受賞ラインはリニューアル前のコンテストよりも上がっているみたいです。一次通過するにも、5000ptはないと厳しそう。
主な選考対象は10000pt以上の作品のようです。
Q.新しい作品の方がいいの?
A.新しい方が良いみたいです。受賞した中・長編8作品のうち6作品はコンテスト開始の約1年以内に連載していたものでした。短編では、9作品のうち8作品が約1年以内のもの。
つまり、コンテスト開催時期から約1年以内の新しい作品がかなり有利なようです。
Q.一人称で書いた話の方がいいの?
A.一人称でも三人称でもあまり大差はありません。受賞作品について調べてみると、一人称の作品は17作品中8作品(47.1%)でした。どちらかといえば、一人称よりも三人称の方が少しだけ有利なようです。
ちなみに中・長編で一人称の作品は8作品中3作品(37.5%)。短編では9作品中5作品(55.6%)。
作品に合った書き方をすればよさそうです。
Q.文字数はどのくらいがおすすめ?
A.10万字以上をおすすめします。一次通過・受賞した作品の66.2%は10万字以上の作品でした。10万字以上の作品は応募作品全体の中で35.2%ほどしか存在しなかったということも考慮すると、10万字以上の長編はかなり優遇されていたといえそうです。ただ、長すぎても落とされているようなので、文庫本1~5冊にまとまるくらいの量がよさそうです。
つまり10万字~55万字くらいで完結する作品がおすすめ。
短編ならアンソロジー本としてまとめたいはずなので、3万字以内がおすすめ。
不利なのは、4万字~9万字くらいの中編と60万字以上の大長編だと思います。
Q.20000pt以上の作品で一次通過もできなかった作品って何が悪かったの?
A.同じ作者さまの作品が2作品以上通過することはなかったみたいです。なので、同じ作者さまの2つめ以降の作品はいくらポイントがあっても落とされています。
それと、複数応募タグをつけている作品は落ちてます(応募規定違反)。
あと、平均評価点が低い(8.3以下かな?)、つまり普通レベルのものも落とされているようです。
それから、女性向けらしい感じがしない作品は普通に落ちてるみたいです(これはしかたない)。
Q.平均評価点、短編の方が低い気がするんだけど?
A.受賞した短編の評価点は8.8、中・長編は9.1。一次通過作品を含めて計算すると、短編8.8、中・長編8.9。確かに短編の方が少し評価点が低いですね。
「これってポイント関係あるのかな?」と思って、念のため、3000pt未満で評価者100人以上の作品(ランダムで20作品ほど選出)の評価点の平均を計算してみたところ、短編は8.1、連載は8.3でした。
つまり、もともとポイントに関係なく、長編に比べると短編は評価点が低くなる傾向があるということみたいです。逆に、文字数が多ければ多いほど評価点の平均も上がりやすい傾向があるようです。
Q.平均評価点、流行ワードが入っている方が低い気がするんだけど?
A.一次通過作品で流行ワードがある作品の評価点の平均は8.8。流行ワードなしだと9.1。確かに流行ワードのある作品は評価点が低めな感じがしますね。
「これもポイント関係あるのかな?」と疑問に思ったので、念のため、少し詳しく調べてみました。3000pt未満で評価者100人以上の作品の評価点の平均です。
流行ワードあり(短編):8.0 流行ワードあり(連載):8.1
流行ワードなし(短編):8.5 流行ワードなし(連載):8.6
うん、流行ワードが入っていると、やっぱり評価点が低いですね。
要するに、評価点を上げたいなら、流行ワードがない連載が最強ということみたいです。
Q.流行ワードって?
A.ここでいう流行ワードとは『悪役令嬢』『婚約破棄』『乙女ゲーム』『ざまあ/ざまぁ』の4つの言葉のことです。ランキングでよく目にする言葉を厳選しています。
Q.やっぱり高ポイント作品って評価点高いの?
A.これは高いみたいですね。20000pt以上で一次通過できていない作品の評価点の平均を見ても8.7ありました。
面白いから高ポイントで高評価。当然ですね。
ただ、高ポイントであればあるほど読者が面白い作品のはずだと思い込んで、その結果、高評価が集まりやすいという可能性も否定はできないかも、とも思ってます。(認知バイアスの一種・バンドワゴン効果?)
ポイント関係なく225作品読んで、高ポイント作品が必ずしも面白いものばかりではないということがよく分かってしまったので……。
うーん、難しいところですね。
Q.そういえば、うさぎ妖精さんが発掘したお気に入り作品のポイント帯ってどんな感じだったの?
A.
0~99pt:2作品
100~999pt:9作品
1000~2999pt:4作品
3000~9999pt:1作品
10000pt~:1作品
(ポイントは私がその作品を読み終わった時点のものになります)
225作品をポイント関係なく片っ端から読んでみた感じ、100pt以上の作品はけっこう優秀でした。そして、3000pt以上のポイント帯よりも3000pt未満のポイント帯の方が面白い作品を多く見つけることができています。まあ、応募作品の8割が3000pt未満の作品ということを考えれば、これも当然の結果といえそうです。
Q.うさぎ妖精さんのお気に入り作品の評価点はどうだったの?
A.うさぎ妖精が発掘したお気に入り作品の評価点の平均は8.9でした。もちろんうさぎ妖精自身がつけた評価点は抜いて計算しています。
つまり、うさぎ妖精のお気に入り作品は、今回の受賞作品と同等の面白さがあるってことですね!
ポイントなんて関係なく、面白いお話は面白いってことなんです! やったー!
Q.うさぎ妖精さんのお気に入り作品の中で、一次通過・受賞作品は出たの?
A.出ました。1作品(10000pt以上の作品)が銀賞を受賞してました。ビックリしました。嬉しかったです。
Q.ポイント重視で書籍化して、本当に売れるの?
A.正直よく分かりません。調べ方もよく分からないです。困ったなあ。
というか、高ポイント作品なのに売れない本もあるみたいですよね。あれは何が悪いんでしょうね。イラストかなあ?
* * *
『まとめ』
アイリスIF大賞で受賞するにはどんな作品が有利なのか、簡単にまとめておきます。
1.完結作品
2.総合ポイント10000pt以上の作品
3.連載開始約1年以内の新しい作品
4.流行ワードの要素がない10万字から55万字くらいの長編
5.流行ワードの要素がある短編
6.平均評価点8.5(★4.2)以上の作品
重要視されていると思われる順番で並べてみました。
【アイリスIF大賞の結果に関しての感想】
《良い点》
流行ワードなしの長編がたくさん受賞していたところ。
読み応えのある長さの完結作品が優遇されていたのは素晴らしかったです。
文字数も10万~25万字くらいで読みやすい長さのお話が多く受賞しているところも大変良いと思いました。書籍になった時に1~2冊で完結するお話って、手に取りやすいんですよね。ありがたいです。
短編も多く受賞していて、受賞のチャンスが広がっていたのも良かったと思います。
そして、うさぎ妖精の選んだお気に入り作品が銀賞を受賞していて、すごくすごく嬉しかったです!
《気になる点》
やっぱりポイント重視なところ。
3000ptで足切りしている可能性が高いというのは非常に残念でした。10000pt未満の作品をまともに読んでいなさそうだというのも残念です。
私は流行ワードが入っているお話が苦手なので、受賞した短編の6割以上に流行ワードが入っていたのも悲しかったです。多くても5割くらいにしてほしかったです。
《一言》
うさぎ妖精のお気に入り作品で銀賞をとった作品、イラストが気に入ったら本を買うかも。素晴らしいイラストレーターさんに当たることを祈ります。
以上。
アイリスIF大賞の結果分析・考察でした。
何かひとつでも参考にしてもらえるところがあれば嬉しいです。
最後まで読んでくださって、ありがとうございました!
ブックマーク、お星さま、いいね、感想などの応援、すごくすごく嬉しいです♪
本当にありがとうございます!